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第11回東京音楽祭世界大会

1982/03/28 日本武道館 (C)TBS1982
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1982/03/28 日本武道館 (C)TBS1982

もう38年も前のステージである。

そのステージを再現してみる。

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その舞台は、武道館内北側に特設された、とてもゴージャスなゴールドをあしらったステージである。

司会は,土居まさるさんと第1回大賞受賞者の雪村いずみさんの令嬢の朝比奈マリアさん。

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前の組のバンド演奏が終わる。

舞台は、暗転。TV放送は、CMへ入る。

土井さんが話はじめ、カメラは、司会席へ。

「早くも残り3曲となりました。

まず高橋真梨子さんです。え-実力十分な方ですね。

今回は、後ろのバックコーラスをハイファイセットの皆さんがつとめます。」

「素晴らしいですね」朝比奈さんが相槌を打つ。

とにかく高橋真梨子さんとしては、早く終わりたい。皆さんそうでしょうけどね(小笑)、そして賞が取れても取れなくても、旨酒を飲みたい、ゆっくりと飲みたいんだと言っておられました。」

「続いての方は香港からの.........(中略)

 

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舞台 照明明転

ON AIR 

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「12番目の楽曲でこざいます。

国内大賞受賞曲『for you...』歌 高橋真梨子」

「The winner of National Contest.

『for you...』Mariko Takahashi .」

 

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オープニングの白の衣装だと思っていたら、なんとオレンジのドレスの真梨子さんが微笑みながら登場してきた。マイクを取る瞬間、いつもの照れ笑いのような笑みを司会席に向けると、小坂きよしさんのピアノが始まる。

出だし、真梨子さんの声はよく響く低音である。十分にのどが開いている。コンサートの中で歌っているかのような準備ができている。

もちろん、パワフルで情感たっぷりで、あのぶつけるような激しさもある。間奏のバイオリンも、2コーラス目の歌詞もないショートversion。エンディングのメロディの余韻もない。

かなりテレビ用にカットした歌唱なのであるが、バラードはこう歌うんだという歌唱であった。

全体的にピリピリ感がない。余裕があるように見せている。

歌い終わった笑顔がとても素敵だった。

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それから15分後審査は終わり、アンディ・ウィリアムスの特別ステージが20分ほど続く。大物アーティストが、生歌を生放送で披露するのは東京音楽祭ならではのシーンである。

そして、暗転した舞台に出演者が並ぶ。この段階で、デイビー・ジョーンズのファンから黄色い声が出ている。

そして、眩い照明がつき表彰式が始まった。

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「続いては、金賞は2曲でございます。

プレセンターは、デボラ・シェルトンさんです。」

カメラが移動すると、後ろにまだ呼ばれていない、ジョン・オバ二オンがかなり緊張している様子が見て取れる。

「Mariko Takahashi 『for you...』..」

真梨子さんは、もうひとりの受賞者とともに、プレゼンターのもとへ満面の笑みで駆けつける。長身のモデル出身の女優で赤紫色のドレスのデボラ・シェルトンさんが、まるで恋人を抱くようにハグをしたのが印象的だ。列に戻っても、真梨子さんは隣の岩崎良美さんと笑顔で話している。

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真梨子さんは、当初コンテストへの出場には躊躇していた。

しかし、大津あきらさんや鈴木キサブローさん、そしてヘンリーさんやスタッフとの話合いで、スタジオ審査に臨むことになった。

そして、日本青年館での国内大会で金賞。

4月には、渾身のアルバム「Dear」をリリースする予定でもある。

もとより、こびない性格の真梨子さん。川上貴光氏著の「扉を開けて」の中でも述べられているように、前夜祭の挨拶では「本当に良いと思ったら選んでください」と、言ってしまった。

そもそも東京音楽祭は、コンテスト形式のフェスティバルである。前夜祭や後夜祭フェアウェルパーティまで、TBSの音楽番組の中で生放送する音楽祭であった。いろいろな賞があった。

でも、大賞と金賞は格が違う。「東京音楽祭」は、世界的ヒットやアーティストを輩出し、アメリカはもちろんフランスヨーロッパアジア世界の音楽シーンを展開する役目も担った。

大賞受賞者には、ナタリー・コール、ディオンヌ・ワーウィック、ライオネル・リッチー、リタ・クーリッジなど、そうそうたる名前が並ぶ。そう、あのナット・キング・コールの娘ナターリー・コールもいる。

欠場したが、第11回のエントリーには、ヘレン・レディもいる。

だから、真梨子さんとしては、しっかりと審査してほしかったのだろう。土居さんがCM中に紹介したコメントも、歌い終わってホッとしたいという本音だったであろう。それが、満面の笑みに表れている。

そして、高橋真梨子というアーティストは、「Dear」「AFTER HOURS」「我蘭憧」という名曲ぞろいのアルバム

を発表し、ステージシンガーとして「高橋真梨子」というジャンルを確立していくのである。

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そして、2013年「高橋40年」で、歌唱シーンのみのデジタル版の動画が入っていた。

何か、30年の時を経て真梨子さんとキャッチボールをして、大切な何かをプレゼントしてもらったかのような感覚になった。

(2020/7/31記載)

1982/03/28 日本武道館 当日のパンフレット (C)TBS1982
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