その1曲目を、JBL4312Dが奏で始めたとき、もちろんアナログ録音のLP音源をリマスターしたCDとも、そして最新のアルバム「VERSE」とも異なる、音の広がりとゆとり、楽器の音の鳴り始めの瞬間、そして余韻、真梨子さんの息遣い、消えかかる声の響きが押し寄せた。通常のCDの16倍の情報量とはこういうことかと驚かされる。

もちろん、再生するCDプレーヤーもK2Mastering機能搭載の機器が良いのだが、普通のプレーヤーでもそのすごさは体感できる。いわゆる16bitで、真梨子さんのヴォーカルの音域をメインに組み立ててきた音が、いわば直線的にプロットされた音の流れが、さらに曲線に近づいて滑らかさと奥行きと広がりを感じさせるのである。もちろん、私のAUDIOには搭載されている。

そのK2Masteringで、歌い直された7曲中6曲が収録されているのがこの「VOICE」である。