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Royal Albert Hall 1994/0701

帰り道を教えてよ  
あなたの空を翔びたい

ジョニイへの伝言

桃色吐息 
水の吐息 

そっとLovin' you
遥かな人へ

Sincerely

OLD TIME JAZZ

for you...

ノンフィクション HBP
息もできないキスをして
STOP MY LOVE
はがゆい唇

for you...


五番街のマリーへ 
グレートブルー
ランナー

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(C)WOWOW1994/09/14
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(C)WOWOW1994/09/14

2020年11月、26年前のRoyal Albert Hallのこのコンサートをじっくりと見れることに心から感謝したい。まさに、このコンサートは、「高橋真梨子が高橋真梨子である」ことを示したBESTのコンサートのひとつである。

前年のカーネギー公演のような海外初の緊張感もなく、また会場設営やリハーサル、そして現地スタッフの動きも円滑で、そして各種のイベントに使用されているホールという安心感からも、映像と音声面での心配はあまり感じられない仕上がりである。そんな余裕が真梨子さんにもヘンリーバンドにもオープニングから感じられる。

真梨子さんの照れ笑いのない平常心のコンサートのスタートである。むしろ、1曲目からマロさんがリズムに乗っているのがわかる。

 

WOWOW版のオープニング、そして、Making部分はモノクロである。まさに、その楕円形劇場で詩の世界心象風景を描き出す「演劇」のようなコンサートは、それを現実であるかのように、いろいろな色彩で描いていく。

真梨子さんは、少しほっそりとしている。カーネギーと比べても素敵な頬の丸みだ。

そして、なんといっても、このコンサートで歌われたすべての曲が、グルーヴがよく音程も安定し、声量もあり艶もあり、チャーミングな可愛いらしさもあり、どの曲を聴いてBESTな歌唱である。

それは表現力というものでカバーしたというものではなく、十分な声量とそして細かいディテールのバランスが絶妙なのだ。

 

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大英帝国のバロック。パイプオルガンの響き。

そしてライティングである。

舞台監督の藤原氏の演出は冴えわたっている。

オープニングの段階で、今日は凄い、カーネギーとは違うとすぐわかる。上に5列で奥まで6つ、ステージ上にも10ほどの合計40以上もあるムービングライトが自由に回転する。「帰り道を教えてよ」の最初の形、すべての照明がセンターに向けて照らされる。

これがポイントであった。

当然、「あなたの空を翔びたい」はブルーである。

真梨子さんの声が天空に突き抜ける。ドラムスの響きもよい。ホールのかすかな残響音が心地よい。

カメラもよい。引きのアングルとアップの画像が、自然に移り変わる。カットの回数もすくなめでとても良い。無駄なカットがない。

とにかく、落ち着いて聴ける。

「ジョニイへの伝言」がこんなにコンサートホールで歌いあげられるということはないのではないか。

「桃色吐息」「水の吐息」と、少し情念を感じさせる歌であるが、オレンジイエローのライトから、まるでモノクロの映写機で映し出されたような、雨を線で描くようなライティングは見事である。

そして、やはり伏線になる。

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(C)WOWOW1994/09/14
ON THE STAGE

次のアルバム収録曲の「そっとLovi'you...」って、こんなにスローバラードだったっけと感じられるくらい、大人のゆとりがある。「Sincerely」も素晴らしい。虹色のライトとブルーのライト、そしてオレンジイエローのライトが使われている。

会場ではもっと感じられたはずである。

「OLD TIME JAZZ」は、英国風ではないけれど、ホールを夜の匂いで満たしていく。アップテンポの2曲は、見事に「STOPMY LOVE 」に繋がっていった。

そして、唯一といってよいほどあのスカーレットのライトが印象的に使われるのだ。

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(C)WOWOW1994/09/14

そう、ここまで読まれて感じられた通り、

このコンサートの照明の色のトーンは、青である。

つまり ROYAL BLUE なのだ。

その色合いの変化で、空の青であったり、ミッドナイトブルーであったり、マリンブルーや、深海のディープブルーをイメージしていく。

そして、冷静さの青と情熱のスカーレットを対比させる。

入りのテンポも絶妙で、

ややスローな感じの「for you...」が味わい深い。

なんといっても、間奏で中央に中立する真梨子さんをオープニングの交差する青いライトが包んでいる

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(C)WOWOW1994/09/14

アンコールは、ビックベンやウェストミンスター寺院の鐘の音のような響きに続いて、そうどこかで聴いたことのある旋律が少し聞こえてくる。

それは、ザ・ビートルズの「Ticket to Ride」をアレンジしたカーペンターズのイメージで、列車が進んでいく感じのあの旋律である。そして、マリーが始まる。

真梨子さんのドレスは白。

ROYAL BLUE とスカーレット。

そしてアンコールのドレスの白。

「ランナー」の ♬あなたの海へ というフレーズでグレートブルーが繋がっている。

前年、デジタル録音でリテイクし歌い直した編曲の通り、シンセサイザーのキーボードが、パイプオルガンのような響きを奏でる。

この時のライトは、「Sincerely」であり、

「for you...」のそれであった。

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ラストのコーラス部分。

明転した舞台に、今を生きていく高橋真梨子がいる。モノトーンの映像と対比させた、今という時代の曲・作品(VERSE)を描く高橋真梨子がいる。

まさに、VERSEであった。

こんなにも綺麗で安定感のあるconcertを

リアルタイムで見れたことに心から感謝したい。

そして、26年後も

真梨子さんはステージに立っているのである。

(2020/11/24記載)

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