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かぐや姫

2017.07.30 東京国際フォーラム

東京国際フォーラムの36列目は、真梨子さんまで45メートルある。

2階席がかぶさっているので、二階席の拍手がまるでモノラルのテレビの時代の潰れたような音の響き方をしてくる。

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「ごめんね」を歌唱する真梨子さんは、後ろからのライトをあびて、青白い光がスカートの中まで照らし、全身のシルエットを輝かせる。

ちょうど、座席から見る真梨子さんの高さは、手のひらに乗る3-4センチのサイズ。

まるで「かぐや姫」が歌っている感覚にとらわれた。

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あのS字状のつりさげられたオブジェは、螺旋階段であり、坂道である。

 

そして、左右の綺麗なカープを描く柱は、実は真梨子さんの曲線美をイメージしているのではないかと体感した。

と同時に「絵空事」のシーンは、感受性が大切である。

あのSはそのものズバリ、センスのSではないだろうか?

 もちろん想像であるが。

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36列目くらいのところで体感できる貴重なこと。それは、「for you...」で見ることができた。ライトの色使いは、いつもどおり、物語の部分は青い冷静な色で。そして、ヒロインの感情の部分はスカーレットでという、色の変化で魅せてくれる。

そして、後ろからの4本のライトが真梨子さんを照らした瞬間、フォーラムの左右の壁に、2つずつ真梨子さんの胸から上のシルエットが映し出されるのだ。

「影」が歌っている。​

そういう感覚である。

そんな36列目も悪くない。

「夢の途中」で、背景のスクリーンに、人が行き交うシーンが映し出されている。

永遠の恋愛と思っていても、もしかしたら、交差点ですれ違っただけの出逢いと経験なのかもしれない。

だから「そばにきて」で星の海を渡りきれないのかもしれない。

「無伴奏」で、偶然彼を見た街角にも通じていくのだ。

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かぐや姫は、いつしか月に戻っていく。

真梨子さんも、星屑の中で「フレンズ」を歌い、「ランナー」の真上からのスポットライトで、天空に吸い寄せられていくかのようだった。

 

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かつて述べたように、「夢」は楽しいものなのに、

人が近づくと、はかない ( 儚い ) 思いになる。

 

しかし、真梨子さんを応援することで、

私たちは、真梨子さんと素敵な時間を共有できている。

まさに夢の途中なのかもしれない。

かぐや姫のように見えた「ごめんね」。

でも、真梨子さんは「かぐや姫」のように、月には戻らない。

なぜならば、連れて行って欲しい「別離のない国」は、実は、「明日のステージ」であることを感じさせる歌声であったからだ。

(2017/07/30)

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