top of page

シルエット

2004.05.15 川口リリア 2-10-16
(C)WIX.COM NEW YORK
DSC_0055.JPG
アルバムcinema 解説
cinema top

シルエットがテーマのコンサートである。
コンサートは、コンセプトの骨格を作る楽曲と、ディテールを表現し彩る楽曲で構成されている。たとえば「グランパ」は、カーネギーホールのコンサートでは、オープニングで歌った骨格を構成する楽曲であった。しかし、今は、ディテールを演出する貴重な曲になっている。

今回は、「月のダンス」と「万華鏡」そして、「心閉ざさないで」がコンセプトを構成するようだ。ワイン片手にダンスをするような、まるでフランス映画のワンシーンのような恋人たちの姿が見えてくる。しかし、時が経ち、愛も終焉を迎えようとするとき月明かりに映し出される自分がいる。
満月を見つめていると、その明るさと漆黒の闇のコントラストが、まるで万華鏡をのぞいている自分のような錯覚に包まれる。
いつまでもその別れを認めたくない自分は、涙がいつしか心の中で雨となりもうダンスが踊れない存在を受け入れていくのだ。

いつまでも雨に包まれていたい。足元を照らすともし灯でいてほしい。そして、心閉さずしっかり生きて生きたいと。

自分を照らす月の明るさ。その月明かりの中で映し出されるシルエット。その光と影の中で、人は人生を演じている。
太陽のまぶしさでないところが、
このコンサートのポイントなのである。
Paper Moonだからなのだ。

紙でできた月。

そんな絵空事の中で、もがき悩んで生きていくのかもしれない。

​(2004.05.16)

bottom of page