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生命のシルエット
2008.07.20 東京国際フォーラム
1-34列は、ステージから50Mはなれている。
2500人規模のホールであれば、最後列という距離だ。視野の中に舞台の縦横がちょうど入る。違う見方をすればテレビを見ている様な、すごく客観的な距離である。コンサートに参加しているというより観ているという距離だった。
一方、音響面も丁度よい音量で、スピーカーの音にごまかされるということはない。
私は、真梨子さんのことが大好きである。私の人生を変えてくれた方である。もちろん、アーティストと鑑賞者として、作品を通じてのことである。そして、私は、このHPで、真梨子さんの世界を永遠に語り継ぎたいために壮大なるラヴ・レターを書き綴っているのだ。
だからこそ、誠に僭越ながら、あえて申し上げたい。
今日の真梨子さんは、「私の知っている髙橋真梨子」ではなかった。
もとより体調を言い訳にしない方であるが、風邪を引いていたのではと思った。違うのだ。真梨子さんどうしちゃったの・・・という感覚だった。
ブレスが長く、原曲と違う。ピッチが合わず張り上げた高音から音を探る。バラードでもはっきり歌う彼女が、ささやくような入り方をするなど・・・・
3年前、「戯れの季節を残して」のツアーで、「浪漫詩人」が取り上げられたように二度とあのときの浪漫は歌えない、そんなフレーズが私の頭の中によぎっていた。
そして、そのことをいちばん知っていたのは、ご本人だったように思う。
エンディングで舞台の袖に消えていく真梨子さんの笑顔は
私には、ごめんなさいの笑顔に見えた。
一ファンの分際で、こんなコメントはご無礼かと思う。
でも、日本の音楽シーンに髙橋真梨子を残しておきたいその純なる気持ちからのコメントとしてあえて重い扉をあけて、今回は、辛口のコメントにした。
真梨子さん ごめんなさい・・・・
東京国際フォーラムでは、ある体感ができる。舞台左右のスクリーンである。今回のコンサートでは、随所に生命のシルエットが感じられた。
それは、真梨子さんの右側からのカメラで撮ったとき、左側から照らす照明の光が真梨子さんをすっぱりと、輝く金の光の中に包み込んでいくシーンである。
その光は、6角形の形で、真梨子さんの顔の前方で愛の光、神の恩寵の光のような暖かい光となって包んでいく。私は、これが生命のシルエットだと思う。
♪「 遥かな人へ 」では、 ひたすら強くなれ 命のシルエット
♪「my little song 」では、
All I need is you. Stay with me by my side.
♪「for you... 」では、
あなたが欲しい あなたが欲しい 愛がすべてが欲しい
この歌詞を歌われている時に、その光が現れた・・・・・
そして私は、真梨子さんのことを思いながら、
こんな見方しかできない自分の視点に、軽い苦しみすら感じる。
一方、気づかせていただいたその素晴らしい舞台照明の演出に
ただただ感謝するばかりである。
2008.07.20記載
(c)THE MUSIX 2007優美彩唱
さて、2022年に読み返してみると、当時はかなり気を遣っていたなという感覚である。2007年にMDF音楽館を開館しているので、どの程度まで書いてよいのかも手探りであった。
もちろん、このころに週刊朝日のインタビューを受けているわけだから、ツアーの間での出来不出来は当然あるだろう。
そんな時に、
一生懸命唄っているのだからそこまで書かなくても、と言って下さる方もいたが、プロはいつも真摯であるべきで、ステージの完成度が問われるのである。努力賞はいらない。
題材に触れた、命のシルエットのスポットは、東京国際フォーラムでよく見られる画面だ。
コンサートライブの放送としてはこのアングルをたまに入れ込んでくるようなことがある。
これが、2022年のラストに繋がっていくのだと思うと、そのこだわりの深さに感動以外何もない。
(2022.02.18)