Copyright ( C ) MDF 2007-2025 All Rights Reserved
街に煌めく星
(c)THE MUSIX 2008 Swing Heart
(c)THE MUSIX 2008 Swing Heart
2008/5/18 川口リリア メインホール
コンサートには、いろいろな曲目構成のブロックがある。私は、単純にSwing Heartのコンセプトアルバムとしての色合いを存分に表現するコンサートに、35周年の色合いを
加えたものと考えていた。
それだけに曲目構成は難しいだろうなという感覚でいた。
しかし、今年は、この方法があったんだという手法で素晴らしいコンサートを制作していただいた。感謝である。
今年一年私は、真梨子さんをこんな風に聴いていこうと思う。
それは、「コンセプトアルバムSwing Heart」でゆったりとした青空と大人の時間を楽しみ、そして、35周年メモリアルツアーとしてのSwingHeart で、「髙橋真梨子と髙橋まり子」のふたりが演じる満天の煌めく星を楽しむ、
という方法である。
あえて敬称はつけていないのは理由がある。
来生えつこさん作詞、来生たかおさん作曲の名曲からのスタートは想定できなかった。しかし、慣れ親しんだ街を出発って(たびだって)いくという曲のイメージ感覚は、まり子さん自身がまさに経験してきたことである。それは、描かれた女性の立場は違うにせよ「ジョニイへの伝言」にも表現されてきたことだ。
このコンサートも電飾が素晴らしい。そして、この音楽館で実はすでに発表しているイメージで私はとらえさせていただいた。星である。街に煌めく星である。昨年のツアー「優美彩唱」の11月の東京国際フォーラムのレポートで、私はすでに表現しているコンセプトイメージだ。
コンサートの前半。このブロックは、髙橋真梨子の軌跡である。数多くの名曲を原曲KEYのまま熱唱し、存分に聴かせてもらえる。そしてJAZZYな「髙橋真梨子」の曲が流れる。それは、NEW YORKに初めて1985年に行ったときの印象を語る真梨子さんの心象風景をイメージさせるものとなる。行ったことがある方ならわかると思う。
NEW YORK の星は、摩天楼の窓から無数に煌めいてくるのである。そして、その窓の「星」の煌めくところに、人が生きている。仕事がある。恋がある。そして、永遠の愛もある。その星の一つ一つが、真梨子さんが歌で表現してきた世界なのだ。だから、バックの電飾は、「摩天楼のビルの星」なのだ。
そして、後半。びっくりするくらいはじける真梨子さん。私は、直感的に感じた。
このブロックのステージは博多のライブハウスである。「フォーカス」であり「88」はちはちのステージを再現してくれたのである。それは、「デビュー前の髙橋まり子」を真梨子さんが描いてくれたのだ。こんなに素敵なことはない。当時、髙橋まり子が覚えた歌が、菊池章子さんのヒットで知られる「星の流れに」である。そして、その曲を歌うときイントロと間奏が「Sweet Memories」になっていた。確かにそのように聴こえたのである。とっても素晴らしい演出であると密かに感じた。
久々に「とびらを開けて」を読んでしまった。
高校1年で博多から旅だち、また故郷に戻ってきたまり子さん。
故郷で見る星、そして見る月。ペーパームーン。
1年だけの約束で故郷を旅だち、35年の時間が流れて多くの名曲を歌い続ける真梨子さん。その電飾に人の生き方の輝きをこめて歌う「ワンダフルナイトcinema」、それは、輝く満天の星空である。(たいへん僭越ながらこの音楽館のイメージでもある。)
前半後半、見事に、煌めく星が共鳴していく構成である。
5/15掲載の読売新聞のインタビューで、真梨子さんは何を信じてきたのだろうかと自問自答している。私はこんな風に感じた。それは「ちょっと不器用でも自分のやり方」を貫いてきたこと、そして「誰かを愛する自分自身に偽りはない、そこに真実がある」ということだと思う。
そして、それを教えてくれたのも、高校1年のとき駅のホームで、まり子さんを見送ってくれたお母様あればこそである。
だから、エンディングのBalladsが、1993年のカーネギーのエンディングと同じでなければならないのだ。昨晩は、その想いが伝わってきて、私も目頭を熱くした。
今年のコンサートはすごい。素晴らしい。
なんとしても、10/31 Carnegieで真梨子さんを聴きたい、そういう想いを強くした。
・・・・・・・・・
余談だが、博多時代に演奏していたバンドの名前が、ハミング・バード という。音韻がSwing Heartに似ているのも何かの縁だと私は感じている。
(2008.05.19掲載 )
もう14年も前のコンサート。真梨子さんは絶好調である。しかし、「for you...」の歌唱に少し苦労していた。さらに体調不良を乗り越えた2022年の真梨子さんから見たら「若いな」というのかもしれない。このレポートを読んで、改めてコンサートを観ると真梨子さんのコンサートはいつまでも永遠の印象を残し続けてくれるとつくづく思うのだ。
(2022.02.18追加記載)