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2018年 コンサートタイトル解説 (予想)
Iwatani Presents
Mariko Takahashi Concert vol.42 2018
Katharsis
3/13今年のタイトルが発表された。
おそらく、新しいアルバムもこのタイトルで、今年は、コンセプトコンサートとBEST盤定番曲との組み合わせのセットリストになるのだろうと思う。
個人的には、「高橋45年」でも良かったと思うので、見た瞬間、またまた難しいタイトルだと思わずツイートしてしまった。
カタルシス
舞台の上の出来事(特に悲劇)を見ることによってひきおこされる情緒の経験が、日ごろ心の中に鬱積(うっせき)している同種の情緒を解放し、それにより快感を得ること。浄化。
と一般的には、説明されている。
もともとは、ギリシャ哲学のアリストテレスからその起源を求めることが出来る。
ギリシャ哲学なので、少し専門? にて付け加えると、ギリシャ時代の劇は、喜劇よりも悲劇の方が意味あるものである。
それは、喜劇は、自分より劣った人の行為であって、そこからは強い感情が生まれてこない。
しかし、悲劇は自分より優れた人が、意志ある決断で行った行為に対して、憐れみや畏敬の念を感じていくことで、自らの感情の変化に気づくというプロセスがあるからである。
ということで、ここではあくまでも高橋真梨子さんのコンサートである。
つまり、キーワードは、私がずっと書き続けている、「明日への希望」なのだと思う。
確かに、真梨子さんが歌う世界は、日常にありそうでない感じの絵空事の世界が多い。
アルバム「ひとりあるき」のライナーノーツにも書かれているように、「絵空事の恋愛をどこまで本当の恋愛に見せていくか」それが真梨子さんの描く心象風景だ。
そして、「そばにきて」のような失恋の歌が、ここまで幅広く聞かれ続けているのも、詩の中の登場人物は、自らの意思で人を愛し、たとえ傷ついても前向きに生きていこうとするシーンが見えてくるからである。
コンサートの異空間の中で、われわれファンは、日常とは違うさまざまな気持ちの琴線に触れている。
コンサートに行ったその瞬間は、仕事や日常を忘れて、真梨子さんの描く世界に浸ってみる。
真梨子さんの45年間は、まさに絵空事の恋愛を描くことで生まれるカタルシスのシーンを綴ってきたのだとも言える。
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ということで、「明日への希望」を強く感じられるアルバムだと受け取りたい。
そして、どうしても書いてしまいたいことがある。
「HEART」である。
「大根役者」と書いて、「きらわれもの」と読ませて、恋愛下手な女性の心理を描いた大津あきらさんの感覚。
大津さんが、つかこうへいさんの劇団にいた事も考えれば、このカタルシスから、ラストのエンディングは「HEART」がぴったりなのだけれど。
そんなことを感じながら、
新しいアルバムとコンサートを楽しみに待ちたい。
(2018/03/13 MDF音楽館MDF 記)