top of page

生命のStar

2,018/06/17 川口リリアメインホール

このコンサートそして、Katharsisのアルバムには、さまざまな恋愛シーンと女性が登場する。

 

しかし、その絵空事の世界を現実のシーンのように描いてきたのは、「高橋真梨子の世界」であり、アーティスト高橋真梨子を表現してきた廣瀬まり子さんである。

 

コンサートのひとつのコンセプトは、昔の出来事や生きてきた軌跡を思い起こして、あんなことあったなぁ、でも今こうやって元気に生活しているよという感情であり、同時に明日への希望が生まれてくる感情である。

正直、今回のアルバムの中に、まり子さんご自身の実体験が含まれている。ただ、それを歌うのではなく、ひとりの登場人物に昇華されている。

**********************

すでに私がレポートしているように、単体のアルバムでありながら、「高橋真梨子というアーティストと時間と空間をともにしてきた時間」が長ければ長いほど、このコンサートを深く体感できるだろう。

楽曲のコード進行が似て来ればメロディラインも耳に聞き覚えのある感覚にとらわれる。それが、昔の曲であればあるほど、あの時の自分の生き方が思い起こされる。

今回のコンサートは、私の予想を超え、そして昔のあの高橋真梨子をイメージさせる、コンパクトに凝縮された素晴らしいコンサートである。

****************

今日はその一つを紹介しよう。

オープニングの2曲は、ある意味「魂の彷徨」である。想い乱れる魂の存在である。そして、なぜか不幸にも明るい「教会へ行く」が流れてくる。

「逢いにゆくよ」のポイントは、生きていくうえでの使命を明るくとらえなおすということ。

そんな自分の務めへの思いと別れた彼への想いの複雑さに、波打ち際で髪を風に飛ばして、彼のもとへと届くように「雲母の波」で願いをかける。

この海は、一つのシーンは「コバルトの海」でなければならない。

生きていく孤独との対峙である。

そして今、ステージ上には、孤高のシンガーがいる。

**************

そういえばこんなことがあったと....、そんな想いでや出来事を思い起こして、ゆったりと時間が流れていく。

酒に酔いつぶれたこともある。静かに酒を飲むシーン。

そして「for you...」

二部の真梨子さんの衣装は赤の上下。あの80年台の赤い情熱の真梨子さんである。「約束」の前半が、「stop my love...」であり、無限の魂に触れた    「far away」であり、そしてさまよう魂が、自分の身体に戻ってくる。

私はこの曲がラストであると想定していたが、素晴らしい展開。​

「海色の風」で、コバルトグリーンのライトで真梨子さんを光の渦に包み込み、幸せな家庭を表現する暖かいオレンジの光で対比していく。

そして、ラストのエンディングの伴奏のコード進行が似ているため、「約束」のさびを改めて聞かせてくれるのである。

そして、ポイントになる曲のすべてに、宮原さんのピアノ音との呼応が成立している。よく聞いてほしい。

@victor music さんのツイートです。

4年ぶりとなるオリジナル・アルバム「Katharsis」をリリースしたばかりの #髙橋真梨子が、デビュー45周年全国ツアーをスタート「逢いにゆくよ」「追憶」「雲母の波」といった新曲はもちろん、代表曲も多数披露23日(土)のNHK総合「SONGS~髙橋真梨子特集~」もお楽しみに。(C)victor Entertainment

 

 

帰り道を教えてよ

流れる

 

教会へ行く

五番街のマリーへ

ジョニィへの伝言

陽かげりの街

逢いにゆくよ

カリソメ

コバルトの海

ごめんね

雲母の波

映像 HBP

追憶

ヒラヒラ淫ら

勝手にしゃがれ

酒と泪と男と女

はがゆい唇

for you...

グランパ

約束

あなたの空を翔びたい

アナタの横顔

海色の風

ではなぜ、コバルト、アクアグリーンなのだろうか?

今年インタビューで、「ステージに立つとき上がらないようにするおまじないは ? 」の問いに、お母様の形見の指輪とヘンリーさんからの 婚約指輪に触れたり、つけて歌うとお答えになっている。確か、その指輪は、ティファニーである。ティファニーのメインカラーは、あの袋の色、アクアグリーンである。

​そして、あのフィレンツェで真梨子さんが手にした指輪は、真梨子さんの誕生石のアクアマリンである。

まさに、生まれ変わった新しい命の色である。

 

それを真梨子さんは「生命のstar」と表現しているのだと私は体感している。

ヘンリーさんがいなければ、1996年と2011年の体調不良から真梨子さんは立ち直れなかった。

その支えあればこそ、魂が体に戻ってきたのである。

真梨子さんの歌を聴いて、浄化される観客の魂。

そして、真梨子さん自身の魂も、癒されていく。

そこには、新しい生命の力が宿っていく。​

その象徴的な色が、あのグリーンの色なのであろうと思う。

こんなことを体感しながら、次回も、宮原さんとのピアノの呼応を楽しんで聴いてみたい。

​(  2018/06/17 22:25 MDF音楽館 MDF記  )

bottom of page