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2019年のBAD BOY
2019/06/30 東京国際フォーラムその②
今年のコンサートのコンセプトを形作る1曲である。まさにこの画像である。
ところで、「BAD BOY」って何歳くらいで、どういう意味か想像したことがあるだろうか?
「for you...」も同様である。あなたのためにではなく、求め続けるforであり、文字通りあなたが欲しいという意味である。
BOYという言葉で17-18歳の少年なんて感じたら全く意味をなさない。もちろん「悪ガキ」なんて訳したら題なしだ。
私は、「あいつ」くらいがいいと思う。
いろいろとあって、年上の25歳くらいの髪の長いクールな美人の女性、つまり真梨子さんの若いころのような女性をイメージすればよい。そして、彼女も少し恋心を抱いているけれど、そのあいつのために生きるというより彼の将来を応援する。
もちろん、彼は彼女に恋してる。
だから、原曲では、ラストの部分を高音で持ち上げて、強いメッセージ性を高めている。
初めて聞いた38年前は、真梨子さんから言われているようでぞくぞくした感じがしたのを覚えている。
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さて、2019年。
ゆったりとした大人の余裕あるイメージの仕上がり。
つまり、かなりの年月を経て若かりし頃の熱い想いを蘇らせたとき、こんなこともあったと、あの時はこうだったと懐古している。
そして、あの時の強いメッセージ通り、まっすぐに彼は生きていてくれたよねと、さらっと願いを込めているのである。
だから、原曲とは異なり高音に張り上げない編曲になっている。
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さて、ここからがポイントである。
この曲のイメージを、歌詞の中から象徴的なワンフレーズで捉えるとき、多くの方が、
♪もう昨日を振り向かないで
とするであろう。
でも、私は違う。
♪ただの女が去っていく
の部分であると思う。
(C)VICTOR ENTERTAINMENT 撮影/田中聖太郎氏
この2019年Versionは、左のようにひとつの時間の経過を体感できる。
と同時に実は、「高橋真梨子の世界」の中のロジックがある。
つまり、まさに「あいつ」である。
ここで登場する彼は、リングの上で戦っている。
そして、「まり子」さんは、アーティストの孤独と戦いながら「高橋真梨子」を描こうとしている。
演出はこれが良い、音質はこうだと一緒に創っている。そう、私の知っている終演後のあの内気で人見知りでおとなしい「まり子」さんが、みんなの高橋真梨子であろうとしている。
その「高橋真梨子であろうとする」姿を、どれだけ客観的に俯瞰して、そして体調を整えて精進していけるのか。命を削って表現できるのか。
まさに、この歌詞の彼女のように、冷静な目で見ている存在が、まり子さんご自身でもある。
素晴らしいステージを作りたい。
もがいて戦っていくその姿をどう表現するか。
しかし、描かれたその高橋真梨子像は、何時もどおり、素敵にさらりと表現されている。
ある時期、歌えなくなったときがある。
まさに生きがいと生きていく自信の
♪あなたのすべてを奪って しまったこともあるけれど、それを乗り越えて、まり子さんは前を見て生きてきたのである。
でも、ご自身が言われるように、まり子さんは普通の女性なのである。
あえて言えば、
熱い想いを秘めた ♪ただの女 なのだ。
だから、あの時の強いメッセージ通り、まっすぐに生きてきたと懐古できるのだ。
この独特の世界観は、名曲「貴方と」や「約束」にも登場する。だから、恋愛の歌にとどまらない。
そしてなによりも、原曲を作詞した段階で
大津あきらさんが、真梨子さんの38年後のこの姿勢を想い描いているということである。
私は、この曲が2部のラストで歌われたとき、
媚びずにまっすぐに歌ってきた高橋真梨子というアーティストを応援してきて良かったと体感した。
なぜなら、これからも、彼女は自分自身のアーティスト像を俯瞰しながら、歌い続けていくからである。まさに、それが新しいメッセージである。
2019/07/04記載