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Ley Line 2度目の奇蹟
2019/09/03 相模大野グリーンホール
(C)THE MUSIX
相模大野グリーンホールは2015年に奇蹟が起きたホールである。
おそらく300分の1の確率で読者の方がビクターの企画に当選し、その恩恵でコンサート終演後に真梨子さん本人に会えたホールである。しかも当日は、鹿島神宮に参拝した帰りに当選通知と幸運メールが届いたのであった。そして何よりも、鹿島神宮と富士山を結ぶ夏至の日の出の太陽の光のライン上に、両国国技館、東京スカイツリー、皇居、明治神宮がある。そして世田谷区内の約10キロメートルをそのライン上に小田急線が走る。さらにすごいのは、その鹿島神宮-富士山ラインの3分の1の地点が、町田であり鹿島神社があることである。町田周辺に遷座されてはいるが、相模大野から800メートルのゾーンにある。そして、詳しくは書けないが、このラインは真梨子さんに極めて縁がある。
そのように、私とも相性の良いホールで、2度目の奇蹟が起きた。
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本日の席は13列目の47番。
前方が緩やかな台形のコロセニウム型のコンサートホール。しかも2000人規模なのに遠近感がある。舞台上の奥行きは狭い。
客席は、5列目から階段状になっており、基本的に前列の観客が気にならない。12列目と13列目の間が中央通路であり、13列目の前にアーチ状の仕切り壁がある。
つまり、13列目の目線的にはステージよりやや上という感じであり、真梨子さん迄17メートルの一直線の目線である。しかも右手は通路である。
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2000人規模のホールの音響は素晴らしい。
時折感じることなのだが、開始数曲の音響の調整がずれていると感じることがある。観客が吸音して音がこもる状態である。しかし、昨日はオープニングから、音像の定位が良い。
そして演奏の中低音の響きが良い。残響音も心地よい。
その中での、真梨子さんのヴォーカルである。
1曲目でいつもその日の真梨子さんの調子を感じ取ってしまうのであるが今日は声が出ている。今日はgoodという感じであった。そして、2曲目にそれは確信に変わる。
「今日はいい。凄い。」
今年のツアーの抜群の安定感を土台に、低音部の持ち上げも、透明な高音部分の突き抜けも素晴らしい。
MC後の「Crazy for you」の高音部のメロディライン。
ここは、響いた倍音で低音のまま持ち上げる。
「Silent Love」は、高音部の透明感のままで彩る。
そして、「君と生きたい」は、その両方を織り交ぜて、真梨子さんならばこう歌うであろうという歌い方であった。
藤井さんのギターがとても良い。
泣いている。そして、弾んでいる。
決してメインではないだろうが、
「Heart Breaker」が熱い情念をぶつけてくる。
そして、「for you...」。
熱い情念、赤い熱い愛。
この歌唱は、今の真梨子さんではなく明らかに80年代の真梨子さんである。
とても熱く赤い想いである。
そしてさらに、
「BAD BOY」は、とても暖かく優しい。
年上の女性から、語り掛けられている感覚
である。この対比が、実に鮮明で見事である。
体力的には厳しいのだろうけれど、
余裕すら感じさせる、
声に微笑みの表情を感じさせる「BAD BOY」。
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そして、アンコールで奇蹟が起きた。
左隣のご夫婦が、真梨子さんがアンコールのドレスに身を包み登場する前に帰宅したのである。
つまりこの瞬間、左右そして前方3メートルに観客が全くいない空間が出現したのだ。
2000人規模のホールで、真梨子さん迄17メートルの位置で
完全にエアポケットができた。
奇蹟が起きたのは、「far away 」
それは光の透明なトンネルである。
トンネルの向こうに真梨子さんがいる。
そしてステージの奥行の関係から、いつもより垂直に近い青紫とエメラルドグリーンのスポットライト。
去来する魂が存在感を示すような星の煌めき。
そう真梨子さんと自分の間が、一つのトンネルのような空間となり、その周りで音が響いてライトが交差していく。
ホール全体の音が、そのトンネルを包むように降り注いでくる。例えれば、水族館の水槽の中を歩けるトンネルのような感覚である。向こうで、真梨子さんが輝いて立っていた。
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いつもより長いカーテンコール。
ヘンリーバンドが袖に下がっても、一人だけいつもより長くセンターに立って、手を振り続ける真梨子さん。
そして深々と頭を下げた。
それは、納得のいくヴォーカルであったことを表していた。
(2019/09/04記載)