top of page

MELLOW

天空に浮かぶ聖なる魂

2019/09/28 森のホール

千葉県松戸市。新八柱から徒歩20分。森のホールは遠い。在来線の湘南新宿ラインで新宿から高崎まで行くほうが実は早い。

そんな感覚なので、11年ぶりに訪れた。

 

​**********************

時に座席の女神さまは粋なことをする。

9/3の相模大野の奇蹟を体感している私は、22列という数字を改めて見たとき、ゆっくりとステージ全体を見れれば満足という感覚でいた。

ロームシアター京都のような劇場型、横須賀芸術劇場のような馬蹄型ではない。

ほぼ直方体のボックスである。

しかし、左右にバルコニー席が3階まである。

なんといっても、正面の天井が高い。

緞帳が大きく、タイトルが中央に

大きく輝いている。

しかも、15列目から階段状に

なっているので、ちょうどTAの

コントロール席の前列は、中二階

のような感覚である。

そしてステージまで、

前の方を気にせずストレートに

真梨子さんの目線を感じられる。

右手が通路、

そして前列と隣の観客の方も

とてもマナーがよいとなれば、

チケットを見た瞬間のイメージとはかけ離れてくる。​

************************

今日はある予感があった。

それは、先週の けんしん郡山文化センターの歌唱がもう一つという声が多かったからである。

メンタル面と体調面のバランスがよくない。

コントロールできていない。

そんな感じであった。

真梨子さんも人間である。

どんなに素晴らしいバッターでも、

100打席のうち65回はアウトになる。

それと比べれば、40公演のうちの3-4回のことだろう。

ただ、自分に厳しい真梨子さんは、必ず立て直してくるはずだと直感していた。

​そして、そのご本人の持つふがいない思いを、ベストな歌唱で払拭し安心させてきたのが、コンサートシンガー高橋真梨子のプロ意識である。

そして今宵、今シーズンで最も素晴らしいベストな歌唱とパフォーマンスが演じられたのである。​

確かに、年間を通じての揺れや体調の波はある。

また、1回のステージの中でも揺れはある。

しかし、今日は各ユニットごとのバランスがとても良い。コンサートで聴かせたい核になる曲と、コンサート全体の物語のト書きのように、あっさりと歌う曲とのバランスがとても良い。

出だしが肝心、歌い始めのフレーズか大切。

いつも真梨子さんはこう語る。

そう、今日はすべての曲の出だしがとても丁寧である。

会場の空気をがらりと変えるオープニング2曲は控えめ。そして、今日はご本人もいけると感じたのだろうか、「キレイな女」から、これが高橋真梨子であるという雰囲気に持ち上げてくる。

そしてその後、すべての曲表現のディテールに乱れがない。

「訪れ」の間奏で、宮原さんのピアノが、お洒落なメロディラインを奏でているとき、真梨子さんは淡いライトで、柔らかいゴールドの輪郭に包まれる。これが高橋真梨子の姿なのだと。

どちらかといえば辛口の私である。

しかし、今日の「ごめんね」は凄い。

枯れている。普段感情移入しない真梨子さんが、その少しの艶を残しながら自然に枯れた感じの歌唱で、気持ちを込めてくる。

 

「君と生きたい」のヴァイオリンの音色の声。

​宮原さんのピアノ音との呼吸の「間」と呼応。

さらに「この気分が好きよ」では、その通りというコンサートシンガーのゆとりある笑顔が感じられ、安定感が心を和ませる。

「HEART BREAKER」の天空からの稲妻のようなスポットライト。愛さずにはいられない。そんな激しい恋のワンシーンを切り取っていく。

熱い赤い恋の「for you...」。今日は低音を持ち上げるのではなく、高音部に力を入れて強く発声する透き通った力強い高音の「for you...」

​もちろん、曲終わりはシルエットの真梨子さん。

その少し硬い音色に対して、なんでこんなに優しくて温かいんだろうという「BAD BOY」の出だし。​まさにメロウな語りかけである。

DSC_0106.JPG
(c)THE MUSIX PaperMoon
    2019/9会報

そして、今日コンサートに行った方、気付いたであろうか?

アンコールの「ジョニイへの伝言」。

1番の歌詞のテンポが、ほんの少し遅いのだ。

それは宮原さんが、真梨子さんの呼吸を感じて、意図して遅くしているためてある。それが大人のゆとりを感じさせていく。​そして、ヘンリーさんのフルートで呼応するところから、通常の速さに乗せていく。

こんな素晴らしいアレンジの変化は、まるでJAZZである。LIVEでこその味わいである。

.............

「far away」.....今日も座席からストレートに真梨子さんへ光の道ができた。

そして真梨子さんが、聖なる魂として天空に浮かんだのである。

その瞬間、真梨子さんから眩いくらい温かくて純粋な愛の波動が伝わって来た。

♬LIVE MELLOW

1985年、初めて訪れたNEW YORK。お母様も同行した思い出のあるCF撮影。

帰国後リリースしたアルバムが、「MELLOWLIPS」。

収録曲の中に、ニューヨークの裏街をイメージさせる曲が入っている。

それが「クロスワード」そして「蜃気楼」。2曲ともに、亀井登志夫さんの作曲である。

「Mary's Song」の背景スクリーンで、ニューヨークのアッパーウェストサイドの JAZZ CITYが描かれる。

そのライブハウスの名前は、MELLOW である。

こういうお洒落な演出に気付けるととても幸せな気分になれる。

素敵である。ただただ真梨子さんに感謝しかない。

No Reason --   理屈など考えず、真梨子さんを愛し続けたい。

(2019/09/29記載)

bottom of page