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YOKOSUKA Bay Story
2022.02.11 よこすか芸術劇場
(c)神奈川芸術協会
(c)@まりスタ Twitter
例年初夏のまぶしい陽に迎られる横須賀のコンサート。冷たい汐風が吹き抜ける街角に立つと、まったく街の様子が異なって見える。
もともと、米軍兵士集会所として、いわばダンスホールとして使われていた土地。
そして、ヘンリーさんが地元の有名校に在学時代に吹奏楽で部活動をしていた当時から、このよこすかはマーチングも盛んで、今もこのホールで大会が開かれている。
だから、そこには、「音楽の聖」の記憶が残っているかのようだ。
それは、NewYorkというよりは、ミズーリ、テネシーという感じの風である。
体重が10キロ増えたというMCの言葉。もちろん、おおよその数字であるから、46-47キロということであろう。やはり、真梨子さん本人が言うように、この増量が声量につながっている。
まるで、私が低音keyの響きが良いと初日にツイートしたコメントを、まりスタさんが伝えてくれて、それを受けての真梨子さんのコメントであるかのような錯覚すら覚える。
本日の席は、K列。真梨子さんから30度の位置で、正面は藤井さんが演奏する位置である。
真梨子さんまで、14メートル。
馬蹄型のホール設計は、拍手が包み込むように響き渡る。真梨子さんも好きなホールだ。
して、最初の舞台セットの背景の柱のイメージが、このホールの壁面と連続しているかのような感覚に見えてくる。
メンバーの皆さんの表情ももちろんよく見える。音響的にも、正面そして、天井からのスピーカーのベストな音像の中でゆっくりと聴くことができた。
さらに、前列の3席が空席。真梨子さんまで、本当に一直線で、左手の繊細な動きが見て取れた。
このホールの「音楽の聖」はとてもお洒落だ。
とにかく真梨子さんは絶好調。2/6もとても良かったが、全体のメリハリもありながら、各曲ごとに十分な声量で仕上げてきている。1日単独というのは、よいかもしれない。
宮原さんの数小節のイントロのメロディが、会場の空気を夜の街に変える。「OLD TIME JAZZ」のJazzな感覚。ストレートの水割りやロックも似合いそうな空気。でもたばこの煙ではなく、見えてくるのは港の霧である。
「Unforgettable」はまさにスタンダード。そして、ライブ。楽譜はあっても、若干情感を込めたアレンジもある。そして、ようやくたばこのにおいがしてくる「この気分が好きよ」のドゥーアップ感。若干シャウトするところも、このホールにとてもあっているのだ。
夜空にきらめく星は、「赤く赤く」「きらめいている」真梨子さんのラメの衣装のごとくである。
そして、あっさりと「修羅のごとく」と入ってくる。
会場を追うごとに、力強く情感が込められて
より完璧になっていく「for you..」。
しっかりと、両手を前に開いて、体をよじることなくストレートに高音を出してくる。ブレスも続く。
真梨子さん自身がきっと体感しているはずだ。
今年はいい感じに行けると。
暑い日の横須賀を思い出させるひまわりの背景。
そして、♪「海色の風」。
この曲のモチーフは、個人的な恋愛よりも、大きな愛を描いているのに、ヘンリーさんとの逸話を含ませている。だから、横浜や横須賀の海はよく似合う。
ふと、海岸沿いを走り抜けるという歌詞がある
♪「不幸せになんか」絶対ならないよ
というフレーズが聞こえてきたかのようだ。
そして、ラストのラスト。
背景からまるで、ハーバーライトに照らされるかのように、アーティスト高橋真梨子は、広瀬まり子さんに戻っていく。
そして、そのシーンですら、綺麗に見せて演じてくれている真梨子さんの姿に、心の高まりを覚えていく。
そして、心を奪われるその姿が消えていく。
その真梨子さんとの時間を
しっかりと受けとめていきたい。
今日くらい、かっこつけていいかなと思いたい
そんな素敵なSoiree(夜会)であった。
(2022/02/12記載)