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優しい指のタクト

2022.04.03 高崎芸術劇場
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(C)高崎芸術劇場 
本日の席は、この画像の一番手前31列52番
すべての席からステージが見やすい設計。目線は、
緞帳に映し出されたタイトルと同じ高さ。
​真梨子さんまで40メートル。ウイングのバルコニー
よりやや低いが、見下ろしている感じでもない。
(C)THE MUSIX 2011SOIREE

ありがとう

遥かな人へ

ジョニィへの伝言

五番街のマリーへ

陽かげりの街

桃色吐息

ごめんね・・・

OLD TIME JAZZ

Unforgettable

EVERYTIME I FEEL YOUR HEART

-君と生きたい-

(ヘンリー広瀬さんフルート独奏)

やさしい夢

はがゆい唇

フレンズ 

オレンヂ (SINGLE VERSION)

この気分が好きよ 

愛する人へのメッセージ

アナタの横顔

for you...

海色の風~君住む場所へ~

 

グランパ

The Road

2019年にこけら落としをした素晴らしいホール。床材や壁材が余計なホールの残響を吸収して、自然に響かせる。もともと真梨子さんのコンサートの音響設定は、各音域がフラットである。しかし、山下さんのドラムスの響きが、心地よい波動となって響いてくる。特に、中低音の響きが素晴らしい。だから、真梨子さんの倍音の声で、メゾソプラノの響きはさらに素晴らしくなる。

ビブラートの細部まで微細に表現してくれるホールである。

また、2000人規模のホールは、拍手の音がとても綺麗だ。

自分の拍手の音が響いている。びわ湖ホール、よこすか芸術劇場同様、拍手が真梨子さんを包み込むように響く。

前回2019年は4列目であったので、自分も包み込まれているようであった。

さて、オープニング曲から、今日の真梨子さんはすごいなという入りであった。横浜の♪君と生きたい がスローで、ベストワンであったので、どうしてもと今日も期待してしまう。

ジョニイもマリーも、今そこに生きている。五番街に住んでいる。

ロングトーンの伸びが素晴らしいので、言葉を置くようなフレーズの表現はない。背景の遠近法の映像が、この席からずっと視線が伸びていくようで、空間を余計に拡がりを持たせていく。

もうこの時に確信していた。

今日は伝説のステージになる........と。

真梨子さんの今シーズンの安定感は、ずっと述べてきたとおりである。それに加えて、ホールそのものが楽器なのだ。そして弦楽器でありかつ倍音である声質の真梨子さんのヴォーカル。高音を寸分の違いもなくストレートに発声するときと、中低音を響かせながら高音を持ち上げるときのバランスが、聴く者の心を躍らせる。

何度も書くように、前半の締めの3曲は、まさにライブである。

宮原慶太さんのピアノの入りが、会場の空気をガラッと変える。今日はややスローな入りだ。だから、わずかに交える装飾音もメロディラインとなり気にならない。小松崎さんのJazyなサックス。そして万照さんは相変わらず、会場ごとにアレンジが違う。

こういう掛け合いのとき、真梨子さんのヴォーカルに合わせて、真梨子さんの優しい左手の指が、メロディを指揮しているかの​動きをする。

今日のセットリストでは、ヘンリーさんの独奏が復活。そして ♪やさしい夢 をワンコーラス唄っている。そして、その後の並びは1/30の東京公演以降変更はない。真梨子さん自身も10公演行って、大きな手ごたえを感じているのだと思う。

もともと真梨子さんの歌の世界は、押し付けず聞き手に心象風景を描かせてきた。それは、真梨子さん自身のフィルターを通してのものではあるけれど、客観的に詞のイメージを表現しようとしてきた。

しかし、今日の♪君と生きたい は、心の叫びであるかのような熱唱であった。その熱い思いにこたえるかのような宮原さんのメロディライン。そしてそのラインに真梨子さんがさらに乗っていく呼応の進行であった

当然、この瞬間、第2部の2曲のイメージが広がる。

♪フレンズ も ♪for you...も会場の鑑賞レポートとは別のレポートとしてすでに記述している。

しかし.......今日はその時以上の完成度。

今日のこの2曲は、「今の高橋真梨子」でなければ歌えない仕上がりであった。そしてこの10年間でもベストな歌唱、伝説となるであろう、私がいつまでも語り続けたい歌唱であった。

それは、イントロから最初のフレーズの曲の入り方の時間にある。ややスローだ。そこには、鍵盤の響きの残響まで聞こえてくる十分な間があるのだ。それに呼応する真梨子さんの最初のフレーズの入り方は、語るような歌い方なのである。だからこそ、客観的であるのだが、そのほんの少しの「間」が、倍音の幾重にも重なるひとりハーモニーの広がりを持たせていくことで、情感が込められているかのような、しかし決して押し付けない語りになっていくように聞こえてくるのだった。そのゆとりあってこその、間奏部分でもある。

 

真梨子さんの優しい指は大きく動いている。

そして、私自身の左手も動いていしまう。

♪for you...は、1982年3月28日の第11回東音楽祭世界大会での金賞を受賞してから、40年である。

あの何かをぶつけるような、熱い思いの歌唱。

そして、真梨子さんが渾身の想いを込めて、制作したアルバム「Dear」のリリースから、40年である。

 

今日の歌唱。それは、それからの日々を思い起こさせてくれるかのような、「真梨子さんとともに過ごしてきたそれから」を描いてくれるかの歌唱であった。

自然と涙がこぼれてきた。

もしかしたら、それが「優しい涙」なのかもしれない。

目線には、ハーバーライトに照らされる ♪海色の風の真梨子さんがシルエットで立っている。

とにかくかっこいい。

シルエットが高橋真梨子なのだ。

そして、2011年は曲線、今年は直線に真梨子さんを包み込みながら動いていくムービングライトは、大さびの部分で水平線の夜明けを青のライトで表現する。

その時、私の視界には、その水平線のライトが両方の壁面まできれいな直線として広がっていった。

そして、それは、水平線でありながら、宇宙から見た地球の夜明けのシーンのようでもあった。

そして、そのイメージは私のSNSの背景画像のカラーでありイメージなのである。それが、座席の女神さまが私にくれたプレゼントなのであった。

盛り上がる客席前方の様子を見ながら、コンサートの一体感というよりも、ホールとの一体感を体感させてくれる座席なのであった。

​真梨子さんには感謝しかない。

​その心の高まりを私はこれからも表現していきたい。

(2022.04.04記載)

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