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CLAP & SNAP
2022.11.02東京国際フォーラム
posted by Francia Urano
(C)夜景NAVI
(C)Francia Urano
はじめは2月が最初で最後だろうと思っていた真梨子さんのコンサート…
それが色々とご縁があって、10月、そして今回と、3回も有楽町で真梨子さんたちに逢いに行くことが出来ました。
私事ですが、2014年からourDaysの知らせが入るまで、大学卒業、就職、療養、転職、結婚…と、20代の人生の大きな転機にあり、真梨子さんのコンサートはinfini以来でした。
その頃の私には、体調不良の中「歌の職人」として挑む真梨子さんの姿は励まされると同時にかなり強く共鳴しすぎてしまい、infini以降はしばらく聴けなくなっていました。
そんな個人的な真梨子さんロスからのourDays…今年は図らずも、その時期の空白をすっかり取り返させてもらったような心持ちでした。
私にとってはそんな今季ツアーなのですが、先日のJ:COM限定コンサートの感想を自分なりに挿し絵も交えながら描いてみました。
初めて限定コンサートへ行きましたが、客層が違うとこんなにも会場の雰囲気が変わってしまうのかと驚きました。(実際に中盤のMC「初めてのお客様はどれくらいですか?」で7〜8割方が拍手をされていました。)
「ありがとう」「遥かな人へ」は伸びやかで安定した歌声。ただ、歌い終えての真梨子さんのMCでは緊張した面持ちと声色で、両手を強く握りながら静かにゆっくりと話し始めました。
「こんばんは〜…。今日のお客様はとても質素で、静かで、とても紳士淑女の方々で……。こういう(限定)コンサートはほとんどないので、何だかまだ緊張が解けていません。でも、一生懸命歌いますので、最後までよろしくお願いします。
きっと(世代の)古いお客様が多いでしょうから…って言ったって私もそうなのですが......
こんな私でもそれなりに売れた曲もあるので、
古い曲をこれから歌います。」
そう言って歌い出した次のメドレーで、会場の雰囲気はかなりほぐれたように感じました。その後の演奏も客席の雰囲気を汲みながら、優しく寄り添ってリードするような演奏にシフトチェンジされているようでした。
そしてこの後にとっても不思議なことが起こりました。「OLD TIME JAZZ」に合わせて、客席からクラップが鳴り出したのです。
今季の先の2公演でも、今までの先輩方のルポでも伺ったことのなかったことだったので驚きました。そして初めての方が多かったからかつられるようにクラップが全体に広がって、程よい音量を保ちながら曲の最後まで心地よいノリが続きました。
真梨子さんもその様子に合わせて、間奏ではスナップをしながらヘンリーさん達の方を見つめ、まるで馴染みの小さなジャズハウスで演奏しているかのような気さくな表情と動きを見せられていました。
先月のとてもレディーで可愛らしさ炸裂の真梨子さんのボーカルとは、またかなり違った雰囲気でした。
それから次の「Unforgettable」では、真綿のようなふかふかとした、とても優しくて愛情深いボーカルでした。これも先月とはかなり違った雰囲気で、もうすっかり最初の緊張を忘れて没頭してしまいました。
2022our Days 読者
そんな第一幕から第二幕…
「やさしい夢」の前のヘンリーさんのフルートソロは先月初めて聴きましたが、今回もやっぱりとっても痺れました…。幼少期に憧れた洋モノの音楽を目指して究め続け、節目に差し掛かった今改めて日本人としての表現を再構築されたような演奏。真梨子さんを「戦友」と呼ばれるヘンリーさんも、まだまだ進化する真梨子さんと伴走しながら確かに進化されているように感じました。
その後の曲は舞台照明の演出も相まって、真梨子さんの歴代の名曲の旅に時間を忘れて引きこまれていました。雰囲気も良くなってきたし、そろそろ「この気分が好きよ」で立てるかと思いきや、やっぱりまだ立てない…しかしながら、体を揺らしながら聴く方、手を高く上げてクラップする方が目に見えて増え、会場が熱を帯び始めていました。拍手もどんどん大きく長く、普段なら鳴らないような曲の合間にも鳴っていました。テキストです。
そしてアンコール。イントロのドラムが始まった時、後ろのご夫婦が声をかけてくださいました。
奥様「ねぇ、立ちましょう?!」
私「…ですよね!?」
実はすぐ後ろにずっと私と同じように燻っていた方がいたなんて…!やっと意を決して「グランパ」の頭から一緒に立ち上がって楽しみました。
それでも会場の8割方がスタンディングしたのは2番からでした。マロさんはもちろんのこと、真梨子さんのヘンリーさんまで「立って!」のジェスチャーをされていました。
会場の割れんばかり拍手!真梨子さんもやっと始めの緊張から解かれたのか、今日一番の笑顔。
「やーっと立ってもらえた!ありがとう!本当にありがとうございます…」拍手はなかなか絶えませんでした。
そして最後のMCでは、初めての方が多いことにも配慮されてか「The Road」の背景であるご自分の生い立ちについて、いつも以上に細やかに、とつとつとお話しされていました。
ちょっと前の自分だったら聞くのが辛かった真梨子さんのエピソード…でも、私も色々乗り越えて回復した今、祈り心を持つように真梨子さんを真っ直ぐ見つめ、その心の声を聞けるようになっていました。真梨子さんはまり子さんとしても、確かに乗り越えられているんだと、とてもとても励まされました。
そんな「The Road」は光に溢れ、拍手に溢れ、深い愛に満たされたエンディングをもって幕を閉じました。
2月は想像以上の力強い復活の歌声、まったりとした進行ながら今季のステージの方向性を探りながらのステージ、10月は各地でステージを重ねられ円熟味の増したステージ、着実に手応えを感じながらどんどんステキに進化していて、ラストツアーだなんてやっぱりもったいない…!というのが、3回観てみての感想でした。
確かに年齢的な闘いもあるとは思うのですが、それを全然感じないステージなので、来年も単発ステージに期待したいです。
それから、ヘンリーバンドの皆さんの演奏もその時その時で演奏のアプローチが違うことにも気づけました。客席と一緒になってステージをつくってこそライブ!という、真梨子さん達が当初から変わらずに大事にされて来られた熱い想いを、今回のステージで改めて再発見できました。
気づけば、真梨子さんを好きになってからもう20年が経ちます。ここで繋がった先輩方とも、学生時代から長らくお世話になっております。こんな若輩者でも暖かく迎えていただけたことが、人生の転換期にあった私の心の励みになっていました。何より、心身や距離感に変化はあっても、真梨子さんが大好きなのはやっぱり変わらないし変えられないのです。
これからもずーっと応援していきたいです。いつもいつも素敵なステージを、あたたかくやさしい繋がりを、本当にありがとうござます。
2022.11.06
ふゅうさん、素敵なレポートありがとうございます。
高校生からのMDF音楽館の読者の方なので、ずいぶん大きくなったなぁという感じです。貴方自身も幼少期から音楽や讃美歌そしてゴスペルに触れているので、聴き方の感覚が素敵ですね。とても参考になりました。
そして、ラストでも触れられていますが、今年の広瀬まり子さんは、我々ファンの前で、「高橋真梨子というアーティスト」を演じきってくれているステージですよね。
その瞬間を少しでも多く感じ取り受けとめていただけたのではないかと思います。
これからもよろしく。(MDF)