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 そして夜会(soiree)が始まる.....
​        ​2022.04.17川口リリアメインホール

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(C)川口リリア
雲上

今日の真梨子さんは絶好調だ。

♪ありがとう の高音域を聴いた瞬間体感した。おそらく最高のコンサートになると。

 

2週間前の高崎も素晴らしい歌唱であった。

しかし、今日は体の力が自然に抜けている。だから、喉周りの余計な緊張がない。リラックスしていて高音域のフレーズを張り上げなくてもストレートに出てくる。しかも、もちろん倍音の一人ハーモニーも響いている。

ロングトーンもよい。

今年の安定感のさらに上をいく滑らかで軽やかなヴォーカルなのだ。

何度も書いてきたように、ジョニィもマリーもそこにいるかのようだ。ゆとりと安心感。

これは、長年真梨子さんを聴いてこないと体感できないものでもあるかもしれない。

もうそこに、一つの物語があるのだ。

今日の座席は、2階席だがいわゆるウイング席で、左の壁際にせり出している。位置的には、1階16列の位置で、目線の高さは緞帳に映し出されたIWATANI の文字の高さだ。それは、1階席が徐々にスロープで上がっているのに比例しているからだろう。さらに良いのは座席が階段状でまったく周りが気にならないことである。つまり、ステージ全体を左サイド上から眺められて、真梨子さんまで25メートルの直線距離の位置である。

♪桃色吐息 のライトは、ステージ上を桃色のライトで真梨子さんを照らし、中心からステージ後方に動いていく。しかし、同様のライトなのに、ゴージャスなライトの ♪ごめんね では吊り下げられたバーのライトだけで、ステージ上では真梨子さんの周りだけ円で照らされている。よく見えると、よくわかる光の動きだ。また、正面と左右1本のスポットは、真梨子さんのシルエットを、それぞれステージ上にもう一人の高橋真梨子を描きだし、3つの影を描いてくれる。

吊り下げられているスピーカー。左サイドなのに、それ程偏らず音像の定位もよい。

つまり、視界100度でステージ全体を左上から見るディレクターのような位置なのだ。

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(C)THE MUSIX  @まりスタtwitter
(C)Wix.

そのような色の変化に魅せられていると、♪ごめんね の真梨子さんの歌唱方法が変化しているのを感じた。全体を通して、実は ♪ごめんね の出だしの入りはとても難しいと思う。調子のよくないときはブレが出たり揺れたりする。しかし今日は可愛い感じなのだ。これならより安定する。そのような感慨に浸ると、宮原さんのピアノのお洒落な大人のメロディが流れてくる。

そして夜会soireeが始まる。

このコンサートはこの3曲がポイントになっている。

♪OLD TIME JAZZ の間奏の万照さんのアレンジは、今日のバージョンはすごい。サックスが鳴いている。震えていて、しかし艶やかだ。もとより音源のないこの3曲はまさにLIVEなのだ。

♪Unforgettable の間奏で Moonlight Serenadeを演奏しているとき、真梨子さんは演奏者に体を向けながら影の中で静止して中立している。それは、ともにステージを作っているメンバーへの敬意であり、お父様への思慕でもあろう。♪君と生きたい は魂の叫びだ。

当然、♪フレンズ も ♪for you...もとてもいい。

特に最近の♪for you...の出だしのト書きの部分は、早口にならず、バラードははっきりと唄うという真梨子さんの姿勢が見えている。だから、後半のさびの部分の張り上げ方はすごいし、その発声はストレートにしかも透明感のある決して無理に出していないロングトーンになっている。

これが、最高の出来と私が称賛する所以である。

そして........

ウイング席の本当の意味がわかった。

♪海色の風 のエメラルドグリーンのライト。

それは、直線よりやや下にむけられているので1階席を照らしている。その光のグラデーションは、まるで薄い雲のように1階席を包み込む。

それを私は少し上から見ているのだ。

そう、1997年10月30日。

ANA香港便のジャンボジェット機は、アルバムtip topを機内放送で流しながら、東シナ海上空を飛行していた。

眼下には、ターコイズブルーとエメラルドグリーンの海面があると想像しながら耳を澄ませば、♪海色の風 が耳元に流れてきた。

今日のそのハーバーライトの層は、まさにその想像した海面のような、まるでエメラルドの雲海のような光のグラデーションであった。

そして、そのエメラルドは、ラストにマリンブルーの層になって、新たに真梨子さんを包んでいく。

真梨子さんを輝かせるスポットライトなのに、

​真梨子さんが、自分で輝いて発する無色の光の存在に見えてくる。

そして.......その光の渦の中に消え去っていく。

真梨子さんとの時間が長ければ長いほど浮かんでくるさまざまなシーン。そんな想い出とともに、アーティスト「高橋真梨子」は自ら昇華して、光の存在・生命のStar として広瀬まり子さんに帰っていくのである。

(2022.04.17記載)

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