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川口リリア 2014.6.8
2014/06/08 川口リリア
今年のツアーのコンセプトは、「鏡に写る未来」である。
いろいろな番組で様々な葛藤を語ってきた真梨子さん。
今日の真梨子さんは、なにか吹っ切れたような、かっこいい昔の真梨子さんであった。
今年のconcertは、真梨子さんの歌唱はもちろん、その構成もとても素晴らしいCONCERTである。
ステージの基調の色は落ち着いた青と情熱の赤。
そして真梨子さんは・・・
・
オープニングは3曲の構成
まず、管楽器アンサンブルの「MOONLIGHT SERENADE」
スポットライトが、ジャズメンをストレートに照らすように
ちょっと coolで青い、落ち着いた冷静な大人の愛の旋律が流れていく。
もちろん、これは真梨子さんのお父様である森岡月夫氏へのメッセージである。
1曲目 イントロが始まったとき、そうかと思ってしまった。
「YOU'RE SO FAR WAY」
別掲のCDアルバム「Adultica」の聴き方でも述べたように、
この曲はアルバム「ひとりあるき」収録のヘンリー広瀬さん作曲の失恋の曲である。
しかし、今回のAdulticaでは、お母様高橋千鶴子さんへの思慕の曲になっている。
ヘンリーさんは、93年のカーネギーホールでのコンサート翌日の記念クルーズでお母様とダンスを踊られたし、詩の内容が、失恋した恋人への言葉を借りて、別の意味を持っている。それは、亡くなった天国の家族にむけて、今どこにいるの 何をしているのと問いかけているように聞こえるのだ。その思慕の情が表現されているが、真梨子さん風にさらっと歌われていくのだ。
2曲目 ファンのリクエストに答えたという「軌道」
しかし、これは故郷博多からの旅立ち、故郷を思う気持ちであろう。
16歳で上京して戻る博多。お母様との葛藤の場は博多だし、帰りたいけど実は帰れない・・・
3曲目 「恋する瞳」
フジテレビの夜のヒットスタジオで、よくお母様が歌手のひな壇で聞いていたのを思い出す。
この3曲の故郷からの旅立ちが、プロローグである。
定番の4曲をはさんで、浅田真央さんに贈るという曲。
失敗から立ち上がる そんな生き方を、真梨子さんもしている。
だから、Romantic Puzzleのラテンの曲調で、ペドロさんとヘンリーさんがスカウトに来た「出逢いの馴れ初め」を星屑のような煌きと表現しているのである。
前半のメインに「出逢いに帰らせて」。CDのブックレットにうまく掲載されているように管楽器を手にした広瀬まり子さんが、鏡の中で「アーティスト高橋真梨子」になって写っている。「鏡の中の高橋真梨子」は輪郭がぼやっとしている。
そう、あるべき高橋真梨子のイメージがあるわけでもない。人が決めたものでもない。
高橋真梨子は、ひとりひとりのファンが思い描くイメージである。
真梨子さんはどこに向かって行くのだろうか。
あるべきgoalの未来があるわけではない。
鏡に写る自分自身が、日々苦悩して、ひたむきに生きて
そして、今を生きて未来に繋げていく。
「出逢いに帰らせて」の歌詞のように、
人は誰も 形の見えぬ 希望信じ走っていく・・・
だから、真梨子さんの未来は希望なのだ。
鏡に写った高橋真梨子は、希望を信じて生きていくアーティストなのだ。
鏡に写る未来・・・・この言葉が浮かんできた。
1曲はさんで、前半のラストはモノトーンの「漂流者へ」。
路線の違う音楽活動にもがいていた真梨子さんが、
ヘンリーさんとともに初めてアルバムをプロデュースした。それが、「漂流者へ」が収録されているアルバム「Dear」である。
赤い衣装でパフォーマンスを見せるヘンリーバンドプレイ。
第2部は、いつものようにアップテンポのMARIKO!!!さん
ロイヤルアルバートホールを思い出させる「ノンフィクション」
真梨子さんでなければ歌えない「soy contante」
そして、聞こえてきたのは、「浪漫詩人」であった。
2009年のconcertもメインでもあったが、あの頃の緊張感ある歌い方と異なっていた。
今の歌い方を聞いて欲しいという、模索していた当時の歌唱とは異なり、
真梨子さんは歌い方をかたちにしてきた。
青いライトが基本的に使われて、赤い衣装のヘンリーバンドが演奏する。
しかし、この時の真梨子さんの衣装は、黒と白のモノトーンなのである。
背景に映し出されたブロックは、Romantic Puzzleである。そのPuzzleが砕け散った瞬間、赤い星が宇宙空間を流れるかのように、輝く星と合体する。真梨子さんにとっての、月と太陽と地球の関係 は、とても不思議な感覚である。
曲のラストは、光の渦の中に真梨子さんが光り輝いていく演出。
このコンサートのもう一つのメインに、この曲が来た。
「DJがいつもかけるうた」。
ライトは、元の青に戻る。ゆったりと流れる大人の時間。
未来にむかって歩くといっても、昔のようには歌えない。
会場の壁面に真梨子さんのシルエットが映し出される。
シルエットが魂を揺さぶって歌っているのである。
私が聴けばあなたとわかる・・・・
この瞬間、目頭が熱くなった。
不覚にも、こんなゆったりとしたラブバラードで涙が浮かんでくるとは。昨年の、「心のメッセージ」の切ない感情とは違う。この歌詞を歌う高音の伸びのある艶やかな「その瞬間の高橋真梨子」は、「私が知っている高橋真梨子」であった。かっこいい、素敵なお姉さんの真梨子さんだったのだ。
もうかけないでこのレコードを今は・・・・
まさに、真梨子さんのヴォーカルの原点を全身で受けとめた瞬間である。
2曲はさんで、
2部のラストは「for you...」
ずっと青いライトが照らされている。
そして最後のリフレインで、赤い照明に変わる。
冷静な大人な理性的な愛情が、私の知っているあの赤い熱い高橋真梨子の愛に変わる瞬間であった。そう「for you...」も、アルバム「Dear」である。
見事に、真梨子さんの世界を造ってきた原点のアルバムが、ひとつの対になってコンサートのまとまりを締めている。
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アンコール3曲をはさんで、ラストは「far away」
この亡き人におくる鎮魂歌レクイエム。スカートをスクリーンにする手法で、多くの去来する魂が、だんだんと浄化されて、まるでいろいろな泡のように沸き上がってくる。
お盆の迎え火の時に、蝶々が飛んできた・・・
母が「お祖父さんがかえってきたたみたいだね・・・」そんな子どもの頃の思い出が浮かんできた。
スクリーン全面に、なぜか嬉しそうに舞う蝶々。鎮魂の悲しみが、なぜか生への畏敬と家族愛に昇華されていく瞬間だ。レクイエムが、そんなラブバラードに聞こえて来た。オープニング曲とタイトルが似ていて、家族愛のメッセージのくりかえしとも受け取れた。
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新しい音楽の方向性を探って
今の真梨子さんの世界を造ってきたアルバム「Dear」。
その「DEAR」が、コンサートのポイントを押さえていくAdultica。
形の見えぬ 希望信じ 走っていく・・・
「鏡に写る未来」は、今を強く生きる高橋真梨子の未来である。
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素晴らしいコンサート、「まりこ」さん、ありがとうございます。
素敵でした。かっこよかったです。
高橋真梨子さんでした・・・・・・・
これからも応援していきます。
(C) THE MUSIX 2014 Adultica