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びわ湖ホール(上)
CARNEGIE HALL (下)
June.18. 2015 びわ湖ホール
パールピンクのRouge
びわ湖ホールは真梨子さんが好きなホールである。奥行きがあって、バルコニーもあるし、天井が高くて素敵なホールという真梨子さんの評価である。オペラの上演で定評のあるこのホールの説明を見ると、観客が入っていないリハーサルの時でも、観客の入っている時と同じような反響で響いてくるよう反射・吸音に優れているホールであるという。確かに、床板もウッドであり、座席はゆったりとしていて左右前の観客か気にならない自然なスロープで舞台が見れる。
6/18 さまざまな幸運が重なって、偶然にも入手したチケットは、12列目のセンターであった。真梨子さんまで12メートル。川口リリアでは、最前列であったので真梨子さんを見るあまり、ステージ全体の照明や演出が見れなかった。このホールは、偶然にも真梨子さんがお話されたとおり10-12列は特に素晴らしい空間である。
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6/16に、「涙もろいペギー」のスクリーン演出について、私は「アーティスト高橋真梨子」が「広瀬まり子」さん本人に、まるでペギーの友人のように熱く語りかけている歌唱であり、そのイメージとして、紅がひかれたのだという意見を掲載した。また、5/31川口リリアのレポートでは、客観的な青の照明と、熱い思いの赤の照明との対比で、THE MARIKO のステージであると表現した。
ということで、今回のステージは、改めて自分の感覚を追体験するコンサートになった。
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お気づきだろうか。あの開演前の、スクリーンのあの回廊を。そしてbackで流れる曲の数々を。よく見れば見るほど、私には、2014Adultica の「浪漫詩人」で出てきた古びたホールのステージにつながる楽屋裏からステージにつながる回廊に見えてきた。そして、そのモチーフはCARNEGIE HALLなのではないかと思っている。
開演前にBackに流れてくる曲は、「Moonlight Serenade」 「Quien Sera 」 「Begin the Beguine 」などである。真梨子さんも表現された曲、そして古びたホールの舞台から少し離れた距離で聞こえてくるスタンダードな名曲の数々なのである。そして、その楽屋裏の回廊の左上の方のスカーレットでオレンジな色使いはなんとなく CARNEGIE HALL のイメージカラーに見えてきた。
昨年の「浪漫詩人」では、正面からとらえた古びたホールはラストに星になり、赤く煌めいて宇宙空間をさまようものであった。まさに、愛が恋しいブルースに明け暮れた魂のようでもあった。
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「ブルースを聞かせて」は、あえて意図されたShort Versionととらえるとまた、奥深い感覚に浸ることができる。その歌わないフレーズは
♪ あなたがくれた Rouge パールピンクに輝いていた・・・・・・・
である。
そして、次の Sincerely の照明が、切ない気持ちを表していく。
アクアブルーの筋書のようなシーン、そして、思いを伝える部分の
♪ あなたが残したものなら 数しれない と真梨子さんが歌う部分は、パールピンクの淡い照明になるのである。そして、後半の「 はがゆい唇 」では、アクアブルーから、さびの部分では、またパールピンクに変化していく。
コンサート前半で、モノトーンのスクリーン画像で 紅色になっていくペギーの唇
そして、コンサートのメインで
「for you ...」の強烈な熱く赤い思いを表すスカーレットのライト につながっていくのである。
感傷的な淡い思い、今となっては落ち着いて語れる恋の話は パールピンクな思い出なのだろう。
だから、真梨子さんは「ブルースを聞かせて」で、この部分を歌わず、思い出のページに消し去っているのだと・・・・そんなふうにも感じ取れた。
そして、( プライベートなことなので慎重に表現すれば ) まり子さんの失恋は、アーティスト高橋真梨子さんが、東京音楽祭で金賞を受賞して、さらなる大きなステージで活躍できるSinger であるとの思いから、彼が身をひいたものであると真梨子さんの述懐の「扉を開けて」からは読み取れる。
♪ 今度 わたしが生まれるときは あの子のそばにいて
あの子の恋が かなうように
きっとなにかを してあげたいの
まるで、「真梨子さん」 が 「まり子さん」 を励ましているように聞こえてくる。
目頭が熱くなるのは、私だけなのだろうか・・・・・・・・
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びわ湖ホールの公式パンフレットと、CARNEGIE HALL の公式案内を並べてみて、真梨子さんがこのホールを気に入っている理由がなんとなく思い浮かんできた。
TOP ARTIST の孤独と悲しみ
そして、だからこそ感じられる「音楽の聖」への畏敬の念
そして感謝の気持ち、そんなことも感じさせるコンサートであった。