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川口リリア メインホール May 31.2015

 

 BLUE   &  RED    STARRING   MARIKO

 

今年のコンサートのコンセプトは 「THE MARIKO 」である。

そして彼女は、ストレートにBLUE とREDで感情を表現してきた。

 

真梨子さんはとても元気で、声量もあり伸びも良い。安心して、その魅力を体感できた。そう、それは、今の表現力で歌う「80年代・90年代の高橋真梨子」そのものであったからだ。まさに真梨子さんのヴォーカル、あの緊張感と安堵感の連続、高橋真梨子が高橋真梨子であるそのヴォーカル、いわば THE MARIKO であった。

 

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会場に入れば、異国の街のメインストリートから一本裏に入った街並みを思わせるかのごとく、ムービングライトが回転している。中央に、古びたホールに通じる回廊があった。なんとなく場末の酒場にも見える。バックに切ないバイオリンの音がどこからともなく流れてきている。

オープニング。その瞬間、会場は裏街に変わる。そして、深いバラ色のローブデコルテ風のドレス姿の真梨子さんが立っていた。

 

この方法があったのかという感じで、「雨に咲く花」から。鑑賞レポートで述べたように「OLD TIME JAZZ」風の編曲である。JAZZである。2曲目は、ボサノバ風の「黄昏のビギン」。そして幻想的な「旅の宿」。そう、カバー曲のおとなしい曲で、しかし真梨子さんの世界がひろがっていく。ClaChicから選曲した最初のパートはここまで。当然、オリジナルとの対比を感じさせるオープニングであった。

 

そして、MC。 いろいろなリクエストがあって・・・と。懐かしいナンバーを3曲歌います・・・・。定番曲2曲を挟んで、「ブルースを聞かせて」のShort Version 。 そして「Sincerely」。そして、3月のタイトル発表時に予想した通り、「涙もろいペギー」と続いた。嬉しいのは、原曲のオリジナル音源を併用して、またオリジナルに沿った歌唱で歌っていただいた。これも、リクエストしてきたことである。

 

管楽器のアンサンブルから、「STARDUST」そして、「Pocketful of Rainbow 」へと。そこは60年代のブロードウエイか・・・・

そして、「素足のボレロ」では、いろいろなseenが、一枚の絵が連続して描かれていくように、その瞬間ごとの恋しい姿を描いていく。

 

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2部は、燃えるような「高橋真梨子」である。1部のオープニングとの対比がある。なんと「グロリア」そして、リクエストした「虹の水」。

そう、会場に入った瞬間感じさせたいろいろな色のSPOT は「Painter」につながっていくのだ。人の生きざままで描いてしまうかの愛の絵の具。

でも、真梨子さんが選んだ色は、「青」と「赤」である。

 

それは、阿久悠さん作詞の「目を見て語れ恋人たちよ」で、ClaChicで描こうとした「古きよき昭和のノスタルジック」を超えて、人のありかたを問いかけてきているかのごとくである。このコンサートの最初のメインである。

 

おたがいを語るのに、愛を語りあうのに、衛星(ほし)のたすけを借りてどうするのか・・・・

 

携帯みたいに機械で冷たく話すのではなく、魂で熱く語り合ったら・・・・そんな思いがそこにある。思わず、この曲で胸が熱くなるとは思わなかった。真梨子さんは、ジョニイとマリーに出逢い、そして今がある。阿久さんへのそんな感謝の意味を込めたメッセージもあった。

 

ジョニィとマリー、そして 後年の 涙もろいペギー。

 

「はがゆい唇」を挟んで、コンサートのメイン 「for you ...」

ヒロインが今までの想いを素直に語るときは 青のライト。

熱く熱い想いをぶつけるときは、赤のライト。

Painter である真梨子さんが、今年改めて選んだ色は、80年代の真梨子さんそのものの色であったのだ。

なんといっても、ラストの演奏中、照明のスポットから外れてシルエットになりながら、斜め下を見ながら終わる姿、これが「for you ...」である。

ここも、原曲に忠実であった。

 

アンコールは、白いウエディング風のドレス。

定番2曲後、「酒と泪と男と女」を熱唱する真梨子さん。

そう、真梨子さんが言うように、俯瞰した歌い方。しかしそれを少し超えて、気持ちのこめられた歌い方。それは、CDではなくコンサートだからである。今日のコンサートには、いろいろな様々な恋愛シーンがあった。

それを、映画のワンシーン、2時間ドラマのワンシーンの回想シーンのように、俯瞰して客観的に、ドラマのエンドロールで流れる主題歌のようにサラッと歌う。そのシーンには、ジョニイもペギーもいたことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(C) THE MUSIX  2015 ClaChic

ラストは、「家へ帰ろう」。ブルースっぽい曲調が、リクエストの「ブルースを聞かせて」とリンクする構成である。

そして、白のドレスの真梨子さんを照らすライトは、通常のライトと赤と青のライトである。

 

そして、そのライトの色には意味がある。

恋愛シーンを客観的に語る冷静な青が、ある意味無機質な都会の生活を表している。そして熱い恋する想いの赤は、故郷の温かい懐かしい、戻る場所を表しているのだ。

その時のライトの角度は、Painterのライトの角度と同じように思えた。

 

青と赤 そして白。

コンサートのインフォメーション写真は、真梨子さんはスカイブルーのドレスを着ている。しかし、ジャケット写真が物語っている。さまざまな淡いライトの中で、客観的な歌い方、青のイメージで表現してきた真梨子さんなのに、真梨子さんの胸元には赤いライトが灯っている。

 

ここ数年、真梨子さんは、今の歌い方の良さを感じてほしいと述べてきている。しかし、今日そこにいたのは、私が逢いたかった少し不器用で人見知りだけど、真正面から愛を歌う、愛が恋しい「高橋真梨子」であった。

 

真梨子さんヘンリーさんありがとうございます。

 

2015/5/31 23:58記載

 

( 追加記入)

 

その瞬間、彼女は目線を合わせようとはしなかった。

本日座席の女神様からの贈り物は、1-1-34番であった。 川口リリアは、舞台の高さも低めで、またステージの横幅はほかのコンサートホールと比較すれば狭い。真梨子さんまで、6メートル。前も左右も遮るものがなく、またマイクの前に真梨子さんが立てば、真梨子さんのシルエットにマイクは入らない。ヘンリーバンドプレイも、野々田さんのサックスも目の前である。

 

そして、グランパで真梨子さんが右に移動すると、背中に2500人の視線を感じながら、まさに3メートルの真正面で真梨子さんが歌っていた。そう、真梨子さんは決して目線を合わせない。でも、それは人見知りの真梨子さんの視線であった。

 

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カバーアルバムをリリースした年のコンサートで、カバー曲の完成度が高いあまり、私はオリジナルをもっと聞きたいと書きこんできた。おそらく今年はアルバムは出ないであろうと思っていたので、「真梨子さんのコンサートで聴きたい曲BEST30」という企画で、みなさんのリクエストをまとめる形で THE MUSIXへ送付したのである。その後、リクエストに対して真摯に向き合っていただいている感覚がなんとなく伝わってきた。

 

しかしそれは、私でしかわからない空気感である。

たとえば、アルバム「 ClaChic 」の CDのブックレットのデザインは、僭越ながらMDF音楽館のデザインに似ているし、本日の2曲目の背景スクリーンは、Blog2014のデザインによく似ている。文中にあるように、オリジナルは歌唱だけでなく編曲もオリジナルに近い。ストリングスがないのに近い音で表現している。

また、リクエストアンケートで、1曲だけ「虹の水」のコンサートVersionが聞きたいですと書きこまれた方のメッセージも、30曲リクエストされた方のメッセージとともに1枚のシートで届けている。こういう感覚である。

 

今年も、あと4回このコンサートを感じ取る機会がある。

真梨子さんとヘンリーさん、ヘンリーバンドの皆さん、そしてコンサートの運営スタッフの皆さんに感謝しながら、愉しみたいと思う。

 

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