top of page

誕生石

 

2015/10/04 愛知芸術劇場

 

真梨子さんは大丈夫だっただろうか・・・・・・

 

「高橋真梨子」というコンサートシンガーは、仕事として歌っている。

そのconceptは、いままでMDF音楽館で発表してきた通り、自然体である。しかし、それは、安心感・安堵感という意味も含む自然体というよりも、鋭い感性に身を委ね、真梨子さんが感じるままに表現していくという自然体である。むしろ鋭い感性というべきであろう。

あえて歌唱方法を述べれば、物語のストーリーのところ、ト書きの部分は感情をこめず淡々と、そして主人公の思いの部分は少し感情をこめて押しつけにならないように歌う。これで、真梨子さんの弦楽器の声質に載せて、緊張感と安堵感がミックスされ思いが伝わってくるのである。

だから、アルバム「 ClaChic 」に収録された、「酒と泪と男と女」は、河島英五さんの世界を乱さないように、少し俯瞰して客観的に押さえて歌うと真梨子さん自身が語ってきたことである。

しかし、10/4 愛知芸術劇場での歌唱は、これらの真梨子さんの歌唱をあえて崩して感情をこめて歌い上げたのである。押さえて歌う真梨子さんの表現ですら素晴らしいのに、少し強めに感情をこめたらどうなるか。

それは、凄みという表現以外ない。

 

伏線はあった。「いろいろとつらいこと苦しいことがあっても、今日は一生懸命歌うから少しの間は忘れて一緒に楽しみましょう」という真梨子さんのMCである。まるで、相模大野のコンサート記録に書いたことを受けての発言のようにすら思えてしまった。

 

「人間社会は怖い。生き残るために、組織を守るために、本意でない仕事をしなければならないこともあった。しかし、真梨子さんの歌の世界は裏切らない。その時々に、生きるすべを与えてくれて、明日への希望を見せてくれる。」と私は相模大野の感想に書いている。

そして、異空間の演出と表現は、真梨子さんのコンサートのありかたの土台でもある。

 

今年のコンサートで、ライトの色がいろいろな感情を表現していることは、川口リリアから発表してきている。

簡単にまとめれば、青いライトは冷静で現実的な生活を示し、パールピンクは恋人との想いを、そして、赤いスカーレットは情熱的な赤い愛を示していると。だから、「目を見て語れ恋人たちよ」と「酒と泪と男と女」は、恋愛の冷たい現実から本当の愛に気付くシーンのように、ブルーの冷静な感じのライトがメインに使われているのだと。

そして、「虹の水」と「for you...」は、赤い熱い愛を強烈に示しているのだと私は表現してきた。

 

**********************

しかし、今日の真梨子さんは 「酒と泪と男と女」で、思いっきり感情をぶつけてきた

それは、青と赤の対比というものではない。

 

つらい厳しい現実の中で、思いっきり もがいて生きていく中に、明日への生きる一筋の光を見出したかのように、冷静な青の中にこそ赤い愛があるのだ といわんばかりである。

 

そして、この青は、この画面では表現しづらい色なのだが、宝石アクアマリンの色なのである。アクアブルーとアクアグリーン。

そう、真梨子さんの3月の誕生石の色である。 

穏やかなやさしさと癒しを与えてくれるアクアマリン。

ブルーに近づけば近づくほど、現実に身を委ねるという意味がある。

そして、海がそうであるように、すべての生命の始まりも意味するという。

フィレンツェで、確かヘンリーさんと宝石店で語っていたシーンを思い出した。

そして、今年の真梨子さんの衣装のブルーは、すべての生命の始まりを表している。

これを示しているのだなぁと受け取った。

 

そして、ラストの「家へ帰ろう」も、青いライトに包まれながら、はじめから思い切り感情を込めて歌い、2番の歌詞ではずっと声を張り上げ続けていたのである。

 

*************************************

8/28に、コンサートの後に楽屋口のバックステージでお目にかかった真梨子さんは、既述の通り、あの明るい軽やかなステップの真梨子さんとは全くの別人の少しやつれたおとなしい方であった。その彼女が、今日のようにあれだけ体力を消耗する歌い方をしていたら、かなりの肉体的なダメージが残ったはずである。

真梨子さんは大丈夫だっただろうか。

 

********************

 

誕生石アクアマリンのマリンブルーのライト。

まさに、真梨子さん自身が自分の命を削って、私たちに新たな生命をさずけてくれているかのようであった。

 

まり子さん、お疲れさまでした 素晴らしかったです。

 

 

 (C)THE  MUSIX 2015 ClaChic

bottom of page