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近づけば近づくほど 真梨子さんは遠くにいる

 

2015.8.28の高橋真梨子さんとの写真撮影から間もなく1週間がたとうとしている。

大変な幸運に恵まれた。考え方によっては、天にも登る気持ちであることかもしれない。

ただ、なぜか私は冷静であった。冷静になることが自然な瞬間であった。

真梨子さんは、とてもおとなしく微笑みで語ってくれた。

決して語らず、おとなしい綺麗な方だった。

 

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今回、2000年4月に発刊された、FM fanを読み返してみた。

ちょうど、ファンの投票によるBEST盤 「 the best 」 がリリースされた直後のリリース・インフォメーションのインタビューである。選曲された曲を取りあげながら、ヒットには恵まれていないけれど、ずっと地道に取り組んだ曲がランクインしている、そういうシンガーなのかなぁという感想とともに、簡単にまとめるとこう述べている。

 

「自分は普通の女性で、だからホントはこういう世界には向いていないのかもしれない。高橋真梨子っていうのも、私というより何かみんなのもの、私は高橋真梨子にかかわる中の一員っていうか、一人の女性として歌うみたいな感覚なんです。」

 

お母様を野辺送りして、いろいろと気持ちに揺れの出ている時期でもあった。

そして、仕事として歌っていると公言してきた真梨子さんである。

その方から、一員という言葉が出て、ある意味大いに納得したのを覚えている。

確かに、真梨子さんは作詞家である。また、コンサートには、多くのスタッフが仕事をしている。なるほどと感じていた。

また、その後アルバム「musee」の収録曲である「貴方と」の中で、真梨子さん自身が、高橋真梨子さんというアーティストを見つめて、貴方と生きていくと恋の形を借りて歌ったのも、まさに自分自身の使命感を意識したものとしてとらえられたのである。

 

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しかし、8/28 私がその感覚をさらに改めさせられたのである。

目の前に現れた、高橋真梨子さんはあのステージで軽やかなステップを踏み、思いきり声を張り上げ、飛び切りの笑顔で手を振ってくれる真梨子さんではなかった。

確かに、2時間近くのリハーサル、2時間30分の本番を終えれば、血管は開き、呼吸も乱れる。話すらしたくない。そういう状況は、プレゼンテーションしたことがある方なら理解できるし体感しているはずである。どっと疲れも出る。

 

仕事の関係で、私は大きな会場のバックステージがどういうものかも知っている。

そういう私ですら、あの運営本部という控室や、会場整理のスタッフがあわただしく出入りし、荷物の搬出もはじめ、外部からの侵入を遮断する警護もあり、いわばプロの男性たちがバックステージを取り仕切っている姿は、華やかなコンサートとは別世界に感じられた。

当然 THE MUSIXのスタッフもいる。VICTOR ENTERTAINMENT のスタッフもいる。

つまり、これらのおそらく、2000人規模でのコンサート会場の要員50名ほどのスタッフの給料とそして生活を、高橋真梨子さんのコンサートが背負っているということである。

 

作詞家だから、ほかにもスタッフがいるから一員と言っているという軽い感覚では語れない。

とんでもない責任と重圧が、154センチの真梨子さんにのしかかっているということを、改めてファンはしっかりととらえなおす必要があるだろう。

 

確かに、重い扉の向こうから出てきた真梨子さんが、明るく饒舌で対応してくれたとしたら、それはかえって無理をさせているということになるだろう。それはもとより望むところではなかった。むしろ、そういうことすらできないくらい、真梨子さんの体力の消耗は激しい。表現は突飛だが、まるで、幽体離脱したかのような感覚すらあるイメージであった。

 

まり子さん、高橋真梨子さんは、命を削って、ステージであの笑顔を見せてくれている のである。

 

そうなのだ。 

私の前にいた彼女は、廣瀬まり子さんであったのだ。

高橋真梨子というアーティストをステージに残して、コンサートの現場で責任ある立場で動く、一人のプロの女性が、一員として働いているその姿を、微笑みという目線で、あの瞬間見せてくれたのだと思っている。

 

そして、廣瀬まり子さんが描こうとしている「高橋真梨子というアーティスト」。

このアーティストを、私も描こうとしている。

別の掲載文では、魂の化学反応と記入した。

その瞬間は向かい合い、相対峙した位置関係でありながら、同時に、並列で同じアーティストのあり方をそして未来を、ともに見ようとしているその共通感覚が、あのアイコンタクトであったのではないかと思っている。

だから、笑顔で軽くうなずくだけで大満足なのに、「まり子さん」はあの30度の角度で挨拶してくれたのである。

とてつもなくありがたいことだ。

 

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もしかしたら、この世の中で、一番私が高橋真梨子さんのことを書いているかもしれない。

誰から質問されても何でも答えられるようにいろいろな資料も集め、

真梨子さんの作品のコレクションも含めておそらく世界で2番目に持っているだろう。

客観的に見れば、その部分では真梨子さんに近いファンなのだと思う。

 

ただ、あの廣瀬まり子さんの微笑みを思いだすと、とてつもなく大きな存在で、私など足元に及びもつかないことに気付く。

近づけば近づくほど、廣瀬まり子さんと高橋真梨子さんのその大きさと奥の深さ、優しさが見えてくる。

とても遠い存在になってくる。

 

だから、私はこれからも一定の距離を保ちながら、「高橋真梨子さんというアーティスト」を表現していきたい。

それは、今私に与えられている仕事なのである。

 

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そして、MDF音楽館を訪れたファンの皆様に申し上げたい。

私は、さらに高いレベルを目指して外へと波動エネルギーを発信していく。

だから、真梨子さんのことが好きな方はついてきてほしい。

そして、どういうファンであるべきか考えてほしい。

 

私は、次に来る自分の役目とステップもすでに3年前から想定している。

そういう自分になれるように、襟を正して生きていきたいと思う。

その展開はとてつもなく素晴らしいことである。

 

近くて遠い存在。どちらかといえば人見知りでおとなしい人。

これが廣瀬まり子さんの「貴方の素顔」なのだろうと思う。

 

私はどこまでも、高橋真梨子さんを描く廣瀬まり子さんを応援していきたい。

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