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ClaChic 鑑賞レポート 20150527
5/27 25:10 改訂
下記のレポートは、5/27AM11:52 に書き起こしたものです。本日は快晴で、気温も高く、メインのステレオシステムの音も快調でした。その後出勤し、24時前に帰宅。そして、いよいよ、「眠ってもよい時間帯」に入りました。
ダウンライトの光の中で、ストリングスや弦楽器のような声質の真梨子さんのヴォーカルを、しっかりと奥深く表現してくれるVICTORのウッドコーンスピーカーで聞き直してみました。 素晴らししいです。 ストリングスとピアノが中心なので、ますます艶やかで、深く響く音色のこのアルバムに、さらに感動しました。
よって、内容も加筆してあります。
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5/27 11:52 投稿
まるで、映画を見ているようなSEENが浮かんできました。
このアルバムは、高橋真梨子さんの表現方法はもちろん素晴らしく、同時に編曲された、林有三さん、小林信吾さん、そして宮原慶太さんのアルバムといってよいでしょう。
90年代のアルバムの編曲を多く手がけた林さん、そして2000年代に入っての小林さん、そしてコンサートマスターの宮原さん。真梨子さんの楽曲に欠かすことできない方たちですね。
真梨子さんは、カバーアルバムでありながら、まるで自分の曲であるかのように表現してしまう、その世界観で圧倒しています。それらを彩るのは、編曲アレンジの素晴らしさです。そのアレンジあればこその真梨子さんの世界ですね。曲は、別掲の収録曲の解説の通り、1972年の真梨子さんを中心とした選曲になっていると考えています。
「まるで子守唄のように聴いてほしい、聴きながらそのまま寝入ってしまってもよい、そんな優しいアルバムである」とヘンリーさんがコンセプトを表現された通り、真梨子さんの優しさがダイレクトに伝わってきました。
そして、外国映画、特に1960年代70年代の「仏蘭西映画」「ハリウッド映画」を見ているかのような感じがしてきました。クロード・ルルーシュ監督1966年作品の「男と女」という映画もありましたね。この映画では、あのお洒落な主題曲は有名ですが、実は劇中の歌に、もう少しシビアな曲がありました。その曲の途中の歌詞に、求愛された女が心で叫ぶシーンがあります。
「泥沼の自由か、檻の中の倖せか・・・・」
当時のドラマは、こういうわかりやすい苦悩を描いていました。サンデー毎日誌上での作詞家の阿木曜子さんとの対談では、男と女のシーンについて軽く語られていますが、当時はこういう苦悩を取り上げたドラマや曲がありましたね。そういうどろどろとした感じの曲も、真梨子さんはサラッと歌ってしまうのですね。
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真梨子さんが、新聞インタビューで答えていたように、「酒と泪と男と女」は俯瞰して歌ったという曲。原曲は河島英五さんの生き方そのものであるかのよう。
だから、まるで、2時間ドラマのラストにエンドロールで、ドラマの各シーンをダイジェストで流しながら、そういえば、こういうドラマ、こういう恋愛の形もあるんだよねと語りかけ、シナリオで言えば地の文章のように冷静に語りかけるように、声を張り上げず歌っているのです。これが俯瞰して歌うということなのでしょう。
「雨に咲く花」は、まるで「OLD TIME JAZZ」 ですね。この編曲が、夜遅い街の灯の中の男と女を描いています。
そして、幻想的な「旅の宿」。編曲の小林信吾さんの作品に、「夢って」という名曲がありますね。この日本風の作品が、幻想感を抱かせるのも納得します。それは、この歌に出てくる彼女の姿に、すでにこの世にいないか、または永遠の別れを宿命づけられているかのような影の薄さを感じさせる表現になっているからです。
そして 「夢の途中」に繋がっていくのも、素晴らしい演出ですね。「想い出まくら」が、映画の始まりのようなイントロになっているのも、90年代の真梨子さんのアルバムを数多く編曲した林有三さんのアレンジの素晴らしさです。
「バスストップ」は、別途私が書き込んだように、まるで ジョニイ に伝言した彼女の回顧のシーンのようです。こういうのが品の良い大人の洒落だと思います。
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そして、メインと思われる位置に 「黄昏のビギン」。
もう「仏蘭西映画」そのものの印象です。そして、コーラスの部分が、すでにザ・ピーナッツさんになっています。間奏もとてもおしゃれですね。2015年のコンサートで、どの位置で歌われるか、とても楽しみです。
(C)ビクターエンタテインメント
/THE MUSIX
2015年5月27日リリース 収録曲 オリジナル曲
1.酒と泪と男と女 (1975 河島 英五 さん)
2.雨に咲く花 (1960 井上 ひろし さん)
3.旅の宿 (1972 よしだたくろう さん)
4.夢の途中 (1981 来生たかお さん)
5.想い出まくら (1975 小坂恭子 さん)
6.バスストップ (1972 平 浩二 さん)
7.黄昏のビギン (1959 水原 弘 さん)
8.遠くへ行きたい ( 1962 ジェリー藤尾 さん)
9.明日になれば (1965 ザ・ピーナッツ さん)
10.ふれあい (1974 中村 雅俊 さん)
11.川は流れる (1961 仲宗根 美樹 さん)
【Bonus Track】
12.家へ帰ろう[with 火野正平さん](セルフカバー)
13.Would I love you (1951 Doris Dayさん)
14.Pocketful of Rainbows (1960 ELVIS PRESLEYさん)
そして、なんといっても、半音を張り上げるさびの部分は、真梨子さんでこそ表現できる部分です。とても、素晴らしい仕上げ、いままで真梨子さんのアルバムを聞いてきた人には耳に覚えのある「高橋真梨子の世界」を表現しているかのようです。
名曲「遠くへ行きたい」、ザ・ピーナッツさんの「明日になれば」、青春ドラマの「ふれあい」そして「川は流れる」。 については、もう少し聞き込みたいと思います。「川は流れる」の間奏で切ないストリングが流れますね。これだけで、名画のシーンを見ているかのようです。
そして60年代そのものの外国曲、その表現方法。アクセントのある編曲。
とても、聴きながら寝入ってしまうという感覚ではありません。じっくり聴いてしまいます。
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かつて、カバーアルバムをリリースした年のコンサートで感じたこと、カバーよりももっとオリジナルを歌ってほしいという想いが、自分の中の感覚にありました。
きっと、そういう感覚は、今年も浮かんでくると思います。
しかし、それ以上にオリジナルは、真梨子さんの張り上げるヴォーカルが聴けるでしょうし、このアルバムのテイストが極めて洋風ですから、うまくバランスを取ってくれるように思います。
「家に帰ろう」思いっきり張り上げ出ましたね。今年のコンサートが楽しみです。
ヘンリーさん、真梨子さん素晴らしいアルバム、ありがとうございます。