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ClaChic 2

2016/06/01

1.君に会いたい

2.Mr.サマータイム

3.天使の誘惑

4.襟裳岬

5.思案橋ブルース

6.死ぬまで一緒に

7.メロンの気持

8.さらば恋人

9.いとしのエリー

10.白いサンゴ礁

11.瞳はダイアモンド

12.くちなしの花

【Bonus Track】

13.New York State of Mind

14.黒いオルフェ

15.My Heart New York City

【期間限定盤DVD収録楽曲】

Mariko Takahashi's Live Flashback

1.遥かな人へ(from 1994 to 2014)

2.五番街のマリーへ(from 1993 to 2014)

カバーアルバムはいろいろなことを感じさせてくれる。確かに、オリジナルアルバムのリリースを期待していた者にとっては、どんな曲が収録されるのか少し不安になるところでもあるし、なぜという感覚も残る。ただし、高橋真梨子が歌えば、その曲は高橋真梨子の世界の曲になり、真梨子さんの「オリジナル」と感じさせてしまうところがすごいところでもある。

ところで、今回の収録曲を見てあることに気づいた。リリースの記事では、サザンを歌う、松田聖子を歌うというところばかり目立っていたが、そういう視点はごく一部に過ぎないことがわかる。

 

2016年はリオデジャネイロ五輪の年である。リオデジャネイロは、コパカバーナという海岸線の綺麗な街でもあり、ダイヤモンドの産地でもある。ブレーンストーンミーティングで、イメージされる言葉を並べれば、「瞳はダイアモンド」や「白いサンゴ礁」そして、カーニバルを題材にした映画のテーマ曲「黒いオルフェ」はすぐに、言葉のレベルで想起できる。

ところがである。これは表面的なイメージに過ぎない。

 

昭和40年代から、昭和59年「桃色吐息」までの、20年間を見てみれば、それは華やかな音楽シーンの連続である。ロカビリーを受けて、グループサウンズの時代。そして、フォークソングとアイドル歌謡曲の時代、演歌も華やかに、そしてニューミュージックの時代。そして、また歌謡曲のヒットの時代。毎日のように華やかな音楽番組が流れ、カーペンターズをはじめとするお洒落な洋楽ポップスの全盛期でもある。

 

グループサウンズGSと質問すれば、タイガースやスパイダース、テンプターズ、そしてブルーコメッツと出てくるだろうが、最大の功績はワイルドワンズだと思う。そして、「想い出の渚」のHIT曲とともにGSサウンドを牽引してきたリーダー加瀬邦彦さんは、昨年闘病の末逝去されている。その葬儀で弔辞を述べたのが、THE MUSIX社長の園田正強さんである。若かりし頃からお仕事をともにされているとのことである。私は、毎朝、TBSテレビの朝の音楽番組ヤング720を見ていたので、まさに小学生にしてGSサウンドに触れていた。そして、ロック系のサウンドからいろいろなフォークロック系に発展していく中で、ヒットした曲がズーニーブーの「白いサンゴ礁」である。実は、オリコンヒットチャートでは、確か16位が最高なのに、これだけ印象深い名曲になったのも、テレビで毎日流れていたこともあると思う。

そして、音楽はフォークソングのアコースティックサウンドの魅力へと変遷する。その代表は、吉田拓郎さんであり赤い鳥である。赤い鳥の所属事務所は、ザ・バードコーポレーションであり、園田さんはアーティストマネジャーとして仕切られていた。

まだ、真梨子さんが博多にいる頃の昭和46年大ヒット曲が生まれる。「また逢う日まで」である。ただ、阿久悠さんの作詞のこの曲は、実は安保闘争に疲れた学生の哀しさを歌ったズーニーブーの曲を、詞をラブソングに作り替え曲もアレンジを変えたものであったのだ。

 

また、GSの人気者が、ソロになってヒット曲を飛ばしていく。

 

そして、、時代はペドロ&カプリシャスの登場を用意する。ラテンからポップスまで幅広く演奏し、まりさんが歌うその世界は当時の歌謡曲の勢いの中で異質の存在であった。まりさんが歌う曲の中に、MDF音楽館でも紹介している「恋人たちの時間」というヘンリーさん作曲の名曲は、フランスっぽいお洒落なイメージを想起せさるものであった。ある意味、ニューミュージックへの過渡期にある曲かも知れない。

そして、荒井由実さんや尾崎亜美さんの登場により、時代はニューミュージックへと移行する。

そして、高橋まりさんは、ザ・バードコーポレーションに入り、高橋真梨子として園田さんと再びともに歩み始めるのである。

 

さて、「瞳はダイアモンド」。

加瀬邦彦さんが亡くなられた頃、昨年の初夏からあるCMが流れ始めた。サントリーのノンアルコールビールのオールフリーのCFである。アーティスト奇妙礼太郎さんのナチュラルな歌声で、

海辺やパラソル、そして初夏を思わせるシーンを交えながら松田聖子さんのヒット曲がカバーされ、バックに流されていた。ちようどTBSの日曜ドラマ「天皇の料理番」でヒロインを演じた、黒木華さんが、箱根と思しき旅館で浴衣姿で登場するCFでは、「瞳はダイアモンド」をバックに使っていた。そして、忘れてならないことがある。これは、松田聖子さんが歌った曲ではあるが、作曲は呉田軽穂さんである。詰まり、荒井由実、松任谷由実さんである。ソロになりたての頃、荒井由実さんと尾崎亜美さんと真梨子さんはいわゆる女子会を開くような仲であったように記憶している。その取材記事も見たことがある。

つまり、この選曲は呉田軽穂さんの曲という選曲である。

大女優クレタ・ガルボは、10本に満たない作品を残して30代前半で引退している。いわば、昨年亡くなられた原節子さんのような感じである。原さんは湘南鎌倉に住んでいた。

なにかこの1曲だけで、いろいろな話が広がっていく。

 

海辺といえば茅ヶ崎、サザンオールスターズである。

ところで読者に質問しよう

ニューヨークといえばホールはどこ ?

カーネギーと答えたくなるのは、真梨子さんファンだからである。

カーネギーはクラシック楽器による演奏のホールである。

ブルースや、R&B、ソウルフルな曲といえは゛、それはアポロシアターである。そういう、魂の歌の象徴はレイ・チャールズであり、彼がやはりサントリーのCMで、「いとしのエリー」をカバーしたことは記憶に残るシーンである。今回視聴してみたが、そのサビの部分だけでも、サザンのカバーではなく、レイチャールズの色合いがあるように私は感じたのである。

 

そしておそらく、カーネギーホールで、「New York State of  Mind」 を歌われるはずであるが、ぞくぞくする仕上げである。

まさに、高橋真梨子の世界の無限の広がりを感じさせる

infini な歌声である。

 

さらに続けよう。真梨子さんは今回、女性ヴォーカルの曲を歌っている。今までは、男性の曲が多かった。

「Mr.サマータイム」は、実は外国曲である。それをサーカスがカバーしているのだ。あの叶正子さんのヴォーカルに乗る日本語の訳詞は、竜真知子さんが担当している。名曲、「君と生きたい」の作詞家である。もしかしたら、真梨子さんの曲のイメージの原風景なのかもしれない。

 

昨年の紅白でいわゆる対戦相手の組み合わせは、森進一さんであった。2016年スクールメイツから芸能生活50周年のこの年に、スクールメイツ時代からともに頑張ってきた仲間の森進一さん、そして吉田拓郎さん作曲の「襟裳岬」が、ニューミュージックの前の時期の名曲として収録されている。こういうお洒落な遊びがあってもいいなと思う。まさか、フォーラムのステージに登場しないとは思うけど。

 

リオデジャネイロ五輪 ?

いいえ、このアルバムは、真梨子さんが歌ってきた時間と空間を映す高橋真梨子の世界のオリジナルのアルバムなのであると思う。

 

ちなみに別掲のように、アルバムジャケットの画像イメージは、リンダロンシュタットの「WHAT'S NEW」をカバーしているかのようである。

 

(2016/04/24)

文中は敬称を一部省略しました。

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