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Couplet 1994/09/07
1.そっと・・・Lovin' you
2.遥かな人へ
3.Moon Tree
4.浪漫詩人
5.Sweet Pageから相棒へ
6.不思議な鳥
7.素足のボレロ
8.泣かせないでよ
9.そして愛は
(C)VictorEntertaiment VICL-558
2行連句、対句という表現のCouplet(クーブレ)。
前作VERSEが、いろいろなジャンルの曲調で表現したことに対して、ストレートで聴きやすい長調の曲が続く。
リレハンメル五輪のNHK放送のテーマ曲になった「遥かな人へ」が、後年卒業式で歌われる歌になったことは、別の意味で、外への成長発展かもしれない。五輪後の総集編のエンドロールで、1回だけ「素足のボレロ」が流れたことがある。
関西国際空港のテーマ曲にも使われた「不思議な鳥」も同様だ。しかし、音楽活動の視点は、内なる音楽活動への回帰、調和とハーモニーという内なる方向に再び向いてきている。
それは、海外進出を目的としたものではなく、公演のひとつとしてコンサートを開いたということからも伺える。
9月のロイヤルアルバートホールのWOWOWオンエアーは、VERSEツアーなのに、
「そっと...Lovin' you」や「そして愛は...」を効果的に使ったため、Coupletのような印象が出てしまったことは否めない。しかも6か月というツアーだったから。
そもそも何に対して二行連句なのか?
いつも通り、英語やフランス語の単語から、そして音楽用語から付けたといえばそれまでであるが、
私的な解釈では、VERSEに対してCouplet
短調なアルバムに対して長調なPOPな感じにとらえたい。
また、各楽曲が対の感じになっているのもよい。それは、LPのように、1-5の曲と6-9の曲の相対的に対比される並びの関係である。「遥かな人へ」と「素足のボレロ」が同じ位置。「そっと...Lovin' you」と「そして愛は...」は、コンサートでもこの位置で歌われる。まさに対である。
「MoonTree」の編曲とミックスダウンが凄い。
音が心に響いてくる。音像の楽器の位置がよくわかる。音の輪郭もしっかりとしている。中欧風の「浪漫詩人」の石造りの階段。それは、ウイーンの自然史美術館を想起させる。それとも、カーネギーやロイヤルアルバートの楽屋裏であろうか?
「浪漫詩人」の曲としての完成度は極めて高い。
だから2010年以降もコンサートのメイン前後に歌われる機会が多い。「Sweet Pageから相棒へ」って、こんなにスローだったっけという感覚で、コンサートとは違ってバラードのように聞こえてくる。「素足のボレロ」のアコスティック感と、ストリングスの響き、バイオリンの音色とバイオリンのような声質の真梨子さんのヴォーカルの響きとのハーモニー。
そして、そんなコンサートのようなアルバムのラストに「そして愛は...」のイントロが流れて、高橋真梨子の世界の原点に再び変えてしまう。
そして、「VERSE」と「Couplet」の93-94シーズンのすべてが集約される。
その中で、たった一言ひとりぼっちという言葉に、コンサートでの一流のシンガーの孤独も重ねて歌われている。
どんな環境の変化があろうとも、主人公はひたむきに生きている。
そんな My True Love がそこにある。
(2020/11/30 記載)