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Dear 1982.04.21
VICTOR ENTERTAINMENT
VIH-28077 VDR-1419 VICL-5166
東京音楽祭金賞受賞後 赤のシール
再プレス後シュリンクに金のシール
A面
1. STOP MY LOVE
2. MY CITY LIGHTS
3. SEE YOU AGAIN・・・
風にくちづけて
4. SAMBA MAGIC
5. フェアウェル
B面
6. 小さなメタモルフォーゼ
7. for you …
8. TEAR
9. 漂流者へ
1982年のアルバムが今でも輝いている。
1981年当時まで、真梨子さんは自分の意に反する、若干不本意なコンサートの演出で歌っていた。しかし、LOVENDOWでみるように、コンセプトアルバムを発表しだしてから、風は真梨子さんに吹き始めている。
アルバムDearは、真梨子さんが初めてアルバム作りに本格的に参画したアルバムである。どの曲を聴いても、今年2011年のアルバムに収録された新曲といってもよい輝きを放っている。まさに、そこに「高橋真梨子というアーティストとしての存在の存在性」がこめられている。
一言で言えば、プロのシンガーとしての意地であろう。
1-3-5-7-9曲目の法則はもちろんであるが、この一枚をコンサートと考えれば、B面の2曲目が、「for you・・・」である。
4分35秒。
誰も文句のつけようがない位置にこの曲が流れてくる。
その後、名曲「Tear」 わたしが繰り返しいろいろな機器で再生を試みた曲。サックスの泣く音色の響きが心を癒してくれる。
「漂流者へ」 が素晴らしいのは、「フェアウェル」と対になっているからである。
「フェアウェル」は、真梨子さんのヴォーカルの味わいがぎゅっと詰まった名曲である。
「小さなメタモルフォーゼ」
星の氷を入れたカクテルなんていうフレーズは、それまでの真梨子さんのアルバムには出てこないお洒落なフレーズ。
どの曲も、がっちりと聴いて欲しい。携帯用の音楽プレーヤーで聴いてはこのアルバムのよさは伝わってこない。
「for you・・・」で、恋人をずっと慕い続けて欲しい。求め続けて欲しい。そして「Tear」で一緒に泣いて欲しい。
求めてやまない思慕の恋 「STOP MY LOVE」。
ジャケットは、風にくちづけ。
少し髪を切ったセミロングの黒髪が風になびいている。
そして、この真梨子さんは、どこかの誰かによく似ている。
(MDF音楽館2007掲載文 再編集2020/07/25)
2020年の今このアルバムは不滅のBESTアルバムである。
これをコンサートの第2部ととらえてみよう。「浪漫詩人」や
「HEART BREAKER」「Painter」の位置に来る曲が、「Stop my love」であった。舞台上のムービングライトが、真梨子さんだけでなく部隊の後ろから客席を照らしていく。そんな風にとらえると、アルバム「ひとりあるき」から「LOVENDOW」までが、コンサートの第1部に相当するのではないか? 1982年当時は、こんなこと考えられなかった。
その意味では、コンサートの2部のラストに「for you...」
アンコールが「Tear」そして、エンディングが「漂流者へ...」と繋がる
そんな勝手な、イメージがいくらでも広がるアルバムである。
今でも、このアルバム単体でステージが構成できる。
赤く燃える恋愛の心象風景は、決して消えることはない。
(2020/07/25 記載)