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fiesta
2006.6.2 VICL-61942
1.淡き恋人
2.僕の嘘
3.オレンヂ
4.そばにきて
5.哀愁の島
6.engage
7.可笑しなしあわせ
8.my Singer
9.やさしい指
10.時間のそよ風
なぜこのタイトルになったのかはわからない。でも、もしかしたら失恋の後の後悔ということなのかも知れない。
人生が華やかなステージで、楽しく生きるという隠れテーマもあってよい。ただ、メインにリリースしていたのは「僕の嘘」である。勝尾寺のシーンは素敵。
正直なところ、「淡き恋人」はめったに聞かない。難しいし、曲調も真梨子さんのストライクゾーンにあるとは私は思っていない。また、タイアップしたドラマともよくわからないつながりでありミスマッチであった。
「そばにきて」は今後も残る名曲である。素直に泣けてくる。
「my Singer」も恋愛の距離感をしっかりと感じさせる曲であり名曲である。
私はこのfiestaというタイトルに、華やかな純愛のステージ(祝祭)に届かない、遠巻きに見ている存在のヒロインの切ない距離感を投影させているのだろうと考えている。
「やさしい指」が、真梨子さんがPCや携帯を使っているところからひらめいたのではないか、指恋という現代の言葉があるようにと考えた。しかしこのモチーフがあればこそ、阿久悠氏のあの名曲につながっていく。
目を見て語れない恋が本当に成就するのだろうか。
しっかりと信頼があればこそ、「時のそよ風」のような自然な夫婦愛が得られるのかと思う。助手席でNAVIできない地図の読めないまり子さんが可愛く映し出されているようである。
(MDF音楽館2007掲載文一部改訂)
そばにきて
ORIGINAL ALBUM
このタイトルがフィットしないというのは21年の今でもそうである。ただ、左に述べたように、「淡き恋人」の歌詞の中に、♪あの隠れ家の休日 ♬儚い明日があるから というフレーズがあるのでこのラインであろう。また、博多どんたくが、オランダ語のドンタークであり土曜日の半ドンに繋がっていることを考えれば、肩ひじ張っていたのをリラックスしていられる瞬間・時間帯と捉えることもできるであろう。この曲が、スペイン風の仕上がりであることも、同義にとらえられるスペイン語の休日そのものなのである。
ただ、アルバムとしては、この曲を1曲目に持ってくる当時の花王提供のタイアップ番組への配慮も有ると思う。そもそも「僕の嘘」が日曜日昼のフジテレビの人気番組のエンディングテーマに取り上げられていることとバランスを取ったのだろう。
ただ、どうしてこの曲が当時の音楽番組で人気ベスト10に入っていると言われるのか、この抽象的すぎる世界観に私の感覚には合わない。
こは曲のいい悪いではない。感覚的なものだ。
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ということで、私の結論は、このアルバムは本来「オレンチ゛」からスタートするはずであったのではないかということである。
春夏秋冬の中の心模様と捉えれば、ラストの「時間のそよ風」の中のフェイドアウト部分のコーラスの春夏秋冬に繋がって対になっているのである。
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いろいと工夫した歌い方をしている。少しロングトーンが出づらい。一方で、ファルセットも素敵だ。
「そばにきて」「my Singer」「やさしい指」という名曲はストレートに高橋真梨子の世界である。
編曲の小林信吾さんはさすが、ファンが求めている世界を知っている。
特に「my Singer」のイントロを聞いた瞬間、その大人な時間の流れが、休日の夕方からの時間であるとすれば、納得してしまう。こういう曲を、コンサートホールの大きな空間で歌ってほしいと思っていた。
もちろん、この想いは実現した。そして更に、こんなに優しいメロディラインの「やさしい指」。
花王のグレースソフィーナのCM曲にも取り上げられたラストの曲が、ごく普通の言葉で、ごく普通の日常を、そして休日の午後そのものを表しているのは言うまでもない。それ以上にいろいろな季節の午後を想起させるほどゆとりがある。
ごく普通の日常の倖せに包まれる温かい歌である。
そこには、厳しい運命や神への背信や、不倫の匂いも情念もない。真梨子さんの安定してきた心境のは変化が感じ取れる。
(2021/01/05記載)