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Mari Covers

​川口リリアコンサートレポート③ 2019/06/29

さてお約束通り、コンサートレポート③を述べる。

①②で述べてきたことは、すでに6/17月曜日にTHE MUSIX宛に送付している。

当然会場回収分、郵送分はまとめて市川の公演の前に真梨子さんは見ているはずである。

そこで、「アナタの横顔」での背景スクリーンのイラストの作者の方とのご縁について述べられたのだろうと思う。

「太陽」と「月」のことはアンケートにも書いている。

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さて、今回のコンサートの前半にクリムトの絵画が、なぜか背景で出てくる。

確かに展覧会が行われているし、2018年が没後100年であったからということなのであろうが、正直私はこの作風と合わない。

ますます真梨子さんの歌う2曲の背景での使用の意味が分からず、しばしミスマッチな思いでいた。

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実は真梨子さんのコンサートとウィーンは遠いようで近い。

97年の香港公演の柿落としのコンサートのとき、いわゆる復活のコンサートの会場としてウイーンも名前は挙がっていた。実際、ウイーンを訪れてみると、クラシック音楽が溢れ、市役所の前広場が野外コンサートの会場にもなっている。しかも伝統的なクラシックホールの楽友協会(画像下右)もある。

しかしポップス向きのコンサートホールはない。あるのはホテルの大広間である。

むしろ、「浪漫詩人」で出てくるホールのイメージは、自然史博物館や絵画の博物館になっている王宮である。

ウイーン大学の回廊もそのイメージである。

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その中に、現在は絵画博物館として使われている王宮の夏の避暑地であった、少し小高い所にあるベルヴェデーレ宮(画像下)がある。

ウイーン市街地を見渡すアングルの絵は、この王宮前庭から描かれている。

​そう、ここにクリムトの絵画か収蔵されているのだ。私が訪れた98年は、まさにミレニアムという時期であり、中欧のイメージにぴったりではあった。

グスタフ・クリムトはウイーン分離派というグループの画家である。伝統的な作風、古典的な歴史建造物を描くような当時の作風に対して、人の生を描いた。特に日本絵画の文化的影響もあり、女性のエロティシズムを描いたことは、ある意味異端であった。

分離派は、いわゆる既成概念にとらわれないという作風の作家たちの集まりであり、だから固定的なこういう作風という表現では括くれない。

あの神の使命に身を委ねて目的を達して恍惚感に浸る女性の有名な絵や、接吻、女性三代など女性の情念を描くのは、当時としては極めて異質な作風である。

そして、実はこのような世界観を嫌らしくなくさらりと、その「人の情念」を歌ってきたのが「コンサートシンガー高橋真梨子」なのである。

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真梨子さんは、「Heart Breaker」 では、神への背徳の激しい愛を歌う。背景に感じられる元なる中欧のイメージは、「浪漫詩人」の世界である。

伝統に対しての異端。

何かにこびないと売れない歌謡界に対して、筋を通した自然体の孤高のシンガー。

​なんとなく、相通じるものがあるということなのだろうか。

左の前置きは長かったが、NewYork と同様に、やはりその空気に触れたことがあるかどうかでイメージの広がりは異なるであろう。こういう経験値があればこそ、

​今後もコンサートの素晴らしさを再現して記述していきたいと思う。

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アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅰ
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