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そこにあるのは「高橋真梨子の世界」である。digitalの時代に、レコードを聴きにいくというシーンから異空間の世界、古びたアナログに主人公の存在を投影していく「真昼の別れ」は絶品。
そして、「連絡」の編曲とステージのシーンが思い出された。
その愛は、セピア色の想い。
時間を越えて存在し続けるものである。
まるで真梨子さんは、ステージで、美なる存在のあるものを表現することで、その聖なる存在をわれわれに感じとれるように表現してくれる取次ぎ者のようである。
美なる存在の通訳者といってもよい。それを表現する真梨子さん自身はとても美しい。
夏のコンサートで聴いた
「Triangle」のオープニング。もう8年も前なのかという感じ。
横浜が似合うお二人の「ラストメール」
そういえば、みなとみらいのカフェバーで、グラスを傾けた。
このアルバムの歌詞カードのパンフレットは、真梨子さんの写真がふんだんに使われている。珍しい笑顔の写真もある。
そう1997年当時の顔とはまったく別人である。
「貴方がいる」は、日常にある幸せそのもの。それは、古びたレコードの世界かも知れない。しかし、自分らしく素直になれる生活である。
(MDF音楽館2007掲載文一部改訂)
(C)VICTOR ENTERTAINMENT /THE MUSIX
2003.6.4 VICL-61133
1.真昼の別れ
2.連絡
3.Triangle
4.never my love
5.ラスト・メール
6.それから・・・〜Marieと海〜
7.soy cantante
8.貴方がいる
9.プロポーズ
このアルバムを聴いた時、高橋真梨子が帰って来たという感じであった。
AORはなじんでいるし、「連絡」のバラードが真梨子さんの赤い愛を描いている。
ジャマイカンなメロディの「Triangle」の歌詞の中に、あのシーンを払拭した真梨子さんがいる。
そのあとに出てくるのが横浜である。2020年にじっくりと聴いて俯瞰して視ると、凄くてそして自然な意識の流れがある。「ラストメール」が2003年なのかという感じである。
もちろん、当時としては、Eメールが主流であった。でも後年阿久悠さんの曲と結果として対になっている。
明るく日常の生活をどうとらえていくかで、日々は幸せにもなり寂しい瞬間にも変化する。
コンサートで聴かせたい、明るいステージを務めたい、そんな元気な高橋真梨子のアルバムである。
「貴方がいる」は、旭川公演の時の犬のエピソードであったと覚えている。ちょうどこのころ、真梨子さんは花王のグレースソフィーナにCM出演している。ヘンリーさんも登場したversionもある。
96-97年の苦しい時、真梨子さんはヘンリーさんと自転車をこいで、代々木公園まで坂道を上って体を何とか動かしていた。このアルバムでは、97年の「海色の風」で描がれた少し固い感じのテイストの夫婦愛というよりも、とても素朴な存在であることを自然な言葉で表現している。
全国ツアー終了で22年に実質ステージを降りることを発表した真梨子さんは、「やさしい夢」の中で夢を見たいと歌っている。でも、真梨子さんの夢は、このような「貴方がいる」の素朴なシーンであることを、今ならしっかりと感じ取れる。
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それにしても、必ず2-3曲はconcertで聴きたい名曲をリリースしてくるところが、高橋真梨子のこだわりなのである。
(2021/01/04記載)