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No Reason
No Reason2009.5.20 VICL-63338
真梨子さんのカバーアルバムを語るときに注意したいのは、どうしてもあれだけのオリジナルの名曲があるのに、1年間のコンサートツアーでカバー曲を聴き続けるということへの葛藤があるということなのである。たとえば、クリスマスや年末特番でカバー曲を歌ってくれたというならば、それはそれは素敵なシーンとなる。しかし、旨く表現されて、まるで真梨子ンのオリジナルであるかのような形にまで昇華されてしまうと、そこにはやはりオリジナルを聴きたいということになる。
2008年の2回目のカーネギー公演は、ある意味、真梨子さんにとって転機となっている。それは、2006年ころからか、「for you....」が思うように歌えなくなっていたからである。かなりこのことはセンシティブな話ではあるが、現実問題として声が出ていない。ファンになった方も多いSONGSの出演時に、わざわざ93年のVTRで「for you...」を流している。
もちろん当時の音楽業界の事情も顕著だ。ヒット曲が出ない。いろいろと音楽のジャンルが広がり、音楽を配信として持ち歩く時代への突入である。CDが売れない。コンセプトアルバムを出し続けて行く、体力もなくなってくる。
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いう中で、真梨子さんの選択は、聞き覚えのあるが埋もれている日本の名曲を歌い直してみるという動きであった。
実に真梨子さんらしい。
真梨子さ名のアルバムには、ほんとに埋もれている名曲がたくさんある。
外への広がりから、今一度、日本語の歌を歌いたい。
そして、原曲のイメージを壊さないように、男性曲を歌いたい。
こんな背景から誕生したアルバムが、この「No Reason」であると捉えたい。
別掲に、このタイトルについて考察しているが、
既に真梨子さんの名曲の詞の中に藻大きなヒントがあった。
理屈など考えずあなたを愛したい
ということである。
Cover Best ALBUM
1.ワインレッドの心
2.見上げてごらん夜の星を
3.ロビンソン
4.Everlasting Love
5.あいつ
6.勝手にしやがれ
7.サヨナラCOLOR
8.君といつまでも
9.桜
10.恋心L’AMOUR C’EST POUR RIEN
11.結詞
ボーナストラック
12.星の流れに
既にヒットした名曲と、隠れた名曲をうまく構成している。「Everlasting Love」は、の真梨子さんのオリジナルな名曲といってもおかしくないほと、ストライクゾーンにはまっている。
「勝手にしやがれ」のアップテンポな曲のあとに「サヨナラCOLOR」をさりげなく歌うことができるのは真梨子さんしかいない。
このアルバムを一つのコンサートとみると、「サヨナラCOLOR」はconcertのメインに位置している。高音を張り上げながらも、当時の真梨子さんの出しやすい音域で低音を響かせている。
歌詞の内容も真梨子さんの心境にフィットしているのだろう。シャウトの感覚も素敵だ。
「君といつまでも」のセリフはどうするのだろうと思っていたら、さりげなくこなしてしまう。
ただ「桜」は少し、曲のテンポが難しい。
バラードになり過ぎて、グルーヴがもう一つの印象がある。アカペラならどうであったか。
おそらく、真梨子さんはこのフレーズにひかれたはずだ。
「やまない雨はない」......
「追いかけるだけの悲しみ」.....
ラテンにアレンジされた「恋心」は真梨子さんの真骨頂な世界でもある。巴里の裏街か。実は、その後のコンサートでもこの曲調は潜在的にリンクしている。「Silent love」然り「サンタマリアの青」もこの世界観である。
ラストの「結詞」のモノトーンの世界の表現が素晴らしい。その光と影のイメージが強い。
影があるから、白が生きてくる。
ここで、「ワインレッドの心」の中欧のミレニアム感が想起されてくる。
コンサートでは、「浪漫詩人」と対になって煉瓦とどんよりとした空のもとの欧風建築をイメージさせていく。
アルバム「紗」で披露した「星の流れに」をボーナストラックで収録するところもお洒落でよい。
これは、完全に「真梨子オリジナル」である。
(2021/05/31記載)