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時を綴る魔法

​2013.06.09川口リリアメインホール
(c)THE MUSIX
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真梨子さんは、時を操る、時を綴る恋の魔法をもっているシンガーである。
デビュー40周年のそのステージは、ひとつのコンセプトとして「時」をテーマに彩られていく。

今回、第5回東京音楽祭の映像をこのタイミングで、オフィシャルに公開されたことは、真梨子さんのある心の動きを感じ取れる。それは、体調を崩し、まり子さんが「高橋真梨子」として求められるレベルとして思うように歌えないとき、「for you」の映像が過去の海外のコンサートの映像に差し替えられていたケースがあったことからも伺える。その年齢で表現できる歌唱を聴いてほしいというコメントには、原曲のKEYを変えずに表現し続けたプロとしてのあるべき姿を表象している。だから特典映像で、1曲の内容を過去のコンサート映像でフレーズごとに綴る構成は、本人の意地と完璧さを求める姿が現されている。

東京音楽祭の映像については、別掲のように私と真梨子さんサイドとの微妙な距離感と空気感がある。あえて言えば、あの1982年のパワフルで燃える恋の表現に比較して、透き通ったピュアーな表現が完成されたからこそ、ここでのオフィシャルな公開なのだと思う。東京音楽祭のオープニングでは、真梨子さんの衣装は白なのである。歌唱時の赤(オレンジに近い)の衣装と実は対比をつけている。

真梨子さんといえば、イメージは白なのだ。その彼女が、赤の衣装を当日は着ていた。


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6/9 川口リリアでステージに立っていた真梨子さんは、赤のロングドレスであった。
2008年のCARNEGIEとツアーラストの11月以来の赤のドレスであった。


(2013/6/12 読売新聞夕刊(写真右掲載)に舞台の演出が書かれていた。ある意味これは異例のことである。普通は、真梨子さんのアップの写真なのだが。)
今回周りから薦められて とおっしゃっていたが、ドレスひとつとってもこれだけだけの記述になる。

第一部は、赤い愛。
しかし、真梨子さんの表現する歌詞にあるメッセージがこめられる。


時は過ぎるようで 本当は止まっているのかな
長い哀しみの中で 

束の間の喜びが 明日へと呼んでいる

そのステージで、その日のステージで、真梨子さんは真梨子さんの世界を表現してきている。ヘンリーさんも、ヘンリーバンドもコンサートのスタッフも彼女をしっかりと支えている。しかし、真梨子さんはステージの上で孤独である。ひとりである。自分と戦っている。お母様との別れを表現した部分や失恋の歌に聞こえる「枯れない花」が、真梨子さんの心が表現されている曲に聞こえてくる。

二部への橋渡しの曲は、「桃色吐息」
大変僭越であるが、たとえば自分の人生があと2時間というときに聴きたい真梨子さんの曲という視点で述べれば、名曲バラードを優先する筆者にとってこの曲への距離がいつも難しい課題であった。しかし、今回の表現は素晴らしい。メロディフェアというのか、おとぎ箱から聞こえてくるメルヘンのようなステージの演出は、コンサートで聴く曲としてイメージアップしたように僭越ながら感じられた。

銀金色と銀色に輝く真梨子さんの衣装に、7色のパステル光線が注ぐ。桃色吐息から29年。素晴らしい位置に、素晴らしい演出であったと思う。





 

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(c)THE MUSIX



第二部は、金と銀に輝く衣装。
でも、時を綴る真梨子さんには、銀なのである。

My Heart NewYork City」 
 銀河の外に とび出していけたら

 すさんだ気持ちも変わる

アルバム「two for nine」に収録された「フレンズ」をはさんでコンサートのメイン「心のメッセージ」。人一倍癒されたかったはずのまり子さんが、真梨子さんであり続けてきたいろいろな出来事が凝縮されている。銀幕の背景に銀色に輝く真梨子さんが立っている。


ひざまづいても届かない 銀色の彼方
数え切れない 想い出を 

無造作に残し・・・・・・・・

かなた、彼方と書いてあなたと読ませるのだとしたらと感じてしまう。 
過ぎ去ったこと、その哀しみを引きずることなく明日へ生きていく希望に変えていく。

その過去から未来への時を綴り、あしたへの期待に変えていく魔法。

今日の真梨子さんには その力を感じた次第であった。
(2013/6/12 読売新聞夕刊(写真下掲載)に舞台の演出が書かれていた。

ある意味これは異例のことである。普通は、真梨子さんのアップの写真なのだが。)

真梨子さんの ありがとう の歌声に
感謝したいのはむしろ応援してきた自分であると感じられたステージであった。

真梨子さん ありがとう。

(2013/6/10)

 

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(c)THE MUSIX
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