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PURE Connection
1995.4.21 VICL-656
1.涙の街角
2.ファジーレストラン
3.彼女
4.crazy for you
-愛しすぎて-
5.たそがれのAnniversary
〜リヨンの春〜
6.愚かなマドンナ
7.車窓
8.私を知らない人
9.心のメッセージ
面白い曲がたくさん入っている。
「ファジーレストラン」「私を知らない人」
「涙の街角」。
そして、名曲「彼女」。当時の真梨子さんは、「彼女」という感傷的な曲ですら、表情を変えずにまるで歌詞をぽんと置く様な歌い方で、あっさりと歌い上げている。感情移入しないから、自分の失恋をとある出来事として、時に冷静すぎるほど客観的に見つめようとするシーンが浮かんでくる。絶望的な凍った失恋の瞬間である。
実は、ジャケット写真があることを暗示している。自転車である。真梨子さんは、体調を壊していたある時期、冬空の下、家から引っ張り出されて、ヘンリーさんと自転車を毎日こいで運動されていた。
気分転換といえば聞こえはよいが、コンサートシンガーとして再起できるかどうかの時期である。
もちろん95年ではなく、96-97年にかけての話であるが、タイトルも、自然体を演じることからの解放を求めているかのようであった。
「心のメッセージ」
確かにこの曲は冷酷な失恋の曲である。しかし、私はこの曲の中に真梨子さんの心の叫びを聞いてしまった。
運命にそむくのが 罪だと云うなら
Stay with me 私だけ 置いて行かないで
1人迷うから 生きるすべの道を
まるで、孤高のシンガーの孤独が聞こえてくるようだ。どうして自分は、歌い続けているのだろうか?
ファンのみんなと、自然に触れ合いたい。そんな心のメッセージがある。
何か、真梨子さんと私たちの
PURE CONNECTIONという感じがしてきたから不思議な体感である。(2007/10/25)
このアルバムは、20BitK2Mastering機能のCDプレーヤーで聴くと効果抜群である。それは、CDで聴くためのCDではなく、コンサートホールで表現し
たらこんな感じだと言わんばかりのミックスダウンになっているからである。ベース、ドラムス、ストリングス、アルトサックスそしてピアノ。様々な楽器がその音像を明確にしてしかも溶け合って奏でられている。
おそらく、このCDの楽曲のアップテンポのテンポは、「私を知らない人」のグルーヴである。
バラードは、3曲しか入っていない。しかし絶妙なバラードである。
「彼女」の出だしが切ない。そして真梨子さんのベストなバラード10曲の中に入る。
そして、8曲聴いた後、すべてを「心のメッセージ」のピアノのイントロダクションが、どこかへ連れてってくれる。それは、夜更けなのか夜明けのビル街なのか、横浜の大桟橋なのか。
不味そうな子羊のフレーズで有名になってはしまったが、この曲のポイントは「誰もが過ぎた 夢にすがり 見せかけの二枚目を演じる」という歌詞にある。
そう、まり子さんは真梨子さんを演じ続けてくれている。しかも、使命を背負って。
もちろん歌い続けたいという本人の意思がある。
日本語の世界を大切にしたい、押し付けない心象風景を描きたい。
そんな思いがも各曲で描かれる。
「彼女」の中のフレーズ
I'm crying for you...
まさに「for you...」と同じ感情。
慕い続けたい。求め続けたい熱い想い。
「心のメッセージ」では
「残酷なほど 変わらない 住みなれた部屋」
「ひざまづいても届かない 銀色の彼方」
というフレーズが忘れられない。
それは、真梨子さんが住んでいたあのマンションだ。そこに浮かぶのは、別れのシーンだ。
カーネギー、ロイヤルアルバートと海外公演を務めてきた。でも、真梨子さんのホームグラウンドは新宿厚生年金である。そしてホテルニューグランドのそばの横浜・神奈川県民ホールも気に入っている。
自分の描く世界を気に入ってくれたら聴いてほしい、
私は裏切らない......、
そんな大人のVocalist の
ストレートな透明感のあるメッセージが
伝わってくるアルバムである。
(2020/12/07)