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SOIREE ​2011.06.8

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VIZL-420

1.MUSEの誘い

2.ありがとう

3.この蒼い地球のように

4.Hold me,Rain〜雨に抱かれて

5.Frustration

6.LIFE

7.目を見て語れ 恋人たちよ

8.Feliz

9.黄昏

10.夕暮れ星

11.The Road

12.明日へ・・・

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誰もが、日常のありきたりなシーンを奪われた、3.11のあの日。翌日の土曜日は、憎みたいほどの晴天であった。夕刻にオレンジ色の夕焼けと黒い雲が不安な気持ちを強くさせた。

偶然にも、新しいアルバムが完成に近づいた時期に、生への畏敬を考えさせる試練が与えられた。

 

真梨子さんの透明感のあるヴォーカルは、控えめで少しマイルドなフィルターをかけたような伴奏とよくマッチしている。

2020年 延期となった全国ツアーの日程が発表され、少し私の心も落ち着いた12月に、改めて聴きなおすと、2008年ころから本人も思うように歌えていないことを体感していたのだろうなと感じてしまう。「その年齢での表現の仕方」というコメントが増えてきたのが、まさにその本音であろう。

結果として、テーマになってしまったこのアルバムのコンセプトである「生への畏敬」と「感謝」は、青い空、星空、夕暮れ、海、という自然をイメージさせ、同時にその自然と共生して生きていく人の姿をもイメージさせていく。

くしくも、「LIFE」「黄昏」が鎮魂の歌である。

​そして、「夕暮れ星」も鎮魂に込められた切ない願いである。
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2011年のツアーは極度の体調不良が真梨子さんを苦しめた。「Hold me,Rain」は、失恋歌ではなく、ステージでの孤独そのものである。そして、「THE ROAD」の述懐と回顧が、まるで2011年でステージを降りることすら想起させてしまった。

今聴けば、ある意味ステージ人生のひとつの区切りをつけて、新しい決断をしたアルバムともいえるであろう。

そして、ステージシンガー高橋真梨子は、10年後の2021年、ラストのステージを務めあげる。

(2020/12/08記載)

以下の感想は、リリース当日に聴いた直後に体感した感想である。当然コンサートの開始前である。

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今の年齢だから、歌える曲、伝えたい思い。そういう真梨子さんの様々な、ストレートな感情がこめられているアルバムである。真梨子さん自身は、完成した後もう一枚創りたいとヘンリーさんに言われたとのこと。まだまだ高橋真梨子の世界は、奥の深い世界なのである。
コンセプトは、「あなたへの感謝」である。東日本大震災をはさんだ制作期間の中で被災地のことを歌っているのではないのに、どうしても想像してしまうフレーズがあったとしてもそれを別次元の恋愛のシーンに表現してマイルドに歌われている。
ごく日常の生活に生きていることへの感謝、生き方を大きく包んで許してくれる人が傍にいることへの感謝、そしてSingerとして生きてきたことへの感謝、そのコンサートSingerを応援してきたファンへの感謝の言葉まである。

SOIREEとは、夜会。
日がだんだんと沈み、作家中原中也氏の言葉で言えば、夕陽(ゆうよう)に人の影がシルエットになり、輪郭だけが金色に輝いて見える時間帯を、ゴールデンアワーという。この時間帯に、われわれはコンサートホールへ駆けつけ、真梨子さんに逢いに行く。コンサートの中で、真正面の後ろから真梨子さんを照らすライトのシーンがある。真梨子さんが金色の輪郭の中に何度も輝いているシーンを覚えている。
まさに、命のシルエットが輝いている瞬間である。

「黄昏」 「夕暮れ星」も真梨子さんらしい。真梨子さんにとって星は特別な存在である。今年のツアーも、満天の星空の中でfor youが歌われるはずである。
ヘンリーさんが気にされていたが、「Frustration」 「Feliz」 もコンサートで真梨子さんを聴いている自分には何の違和感もない。

真梨子さんの「高橋真梨子らしさ」は、緊張感のある高音の張り上げと次のフレーズで安堵感に包まれる暖かいヴォーカルにある。このアルバムは、いたるところでその真梨子さんに出逢うことが出来る。
「Hold me,Rain~雨に抱かれて」はまさに、その高橋真梨子の世界である。女性詞の中に、「簡単に君を忘れられるなら こんなに苦しんだりはしない」という男性の言葉を挟み込んで、女性から見た「貴方」に対して、「君」という一言で男の気持ちを表現している。ここにも、あなたへの感謝が表現されている。たとえ失恋や哀しい別れがあったとしても、愛した瞬間を「貴方」は自分に思い出として残してくれたからである。だから愛しい人なのである。
ドラムスの山下政人さんとベースの小川真司さんが録音に参加されているので、グルーヴのノリのよい作品になっている。

CDで聴くべき曲は、「THE ROAD」。シャイな真梨子さんがそこにいる。作曲が鈴木キサブローさんというのもなるほどと納得してしまった。
まだまだ奥の深いアルバムだと思う。

プレゼントのDVD映像で、原曲のままKEYを変えずに歌い続ける真梨子さんの真摯さが、アーティストとしての宿命と意地に見えてきた。同じことをやり続けることが出来る真梨子さんはやはり特別な存在なのである。
また書くチャンスがあると思うが、for youをめぐる私と「真梨子さん」のAIRを通じたちょっとしたやり取りを、私は敏感に感じている。2008年夏のあることが関係していると自分では思っている。今は、昔以上の輝きで歌ってくれていることに感謝したい。そして「目を見て語れ恋人たちよ」のシーンのあの赤いドレスは2008/11/23-24の映像であろう。とっても素敵な真梨子さんである。

コンサートツアーとともに、対になるであろうこのアルバムを愉しんでいきたい。
(2011/6/8記)

ORIGINAL ALBUM
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