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HEART
2011/6/22八王子オリンパスホール
Triadのメイン曲であり、私が今コンサートてもっとも聴きたい曲である。真梨子さんは、1984年のTriadツアーそして、1984/12/31の帝国劇場での日本レコード大賞アルバム大賞の受賞歌唱以降、ステージでは歌っていない。
2011/6/22 私はもしかしたら、SOIREEコンサートのエンディング曲The Roadを聞きながら、HEARTを歌っている真梨子さんをその姿の中に見ていたのかも知れない。
4回目のコンサートで早くも3度目のセットリストの変更である。
2部のラストに「for you」を置いた最初のセットリストの構成を感じとり、変更されたセツトリストに、なぜ24時間テレビ的な大団円の終わり方をするのか。真梨子さんが感謝の言葉を口にするたびに、もうステージを降りてしまうのではとさえ懸念させる構成に対して、私は熱い愛を歌ってほしいと当日まで訴えていた。HIT曲は、うるさい私をうならせるほど、原曲に忠実でとても丁寧な唄い方である。プロのSingerの意地である。だからこそ、余計に不安も募る。
終演後ある方から、今日真梨子さんMDFさんにむかって話していませんでしたか?という不思議な質問をいただいた。
確かに、座席の女神から与えられた席は、真梨子さんの右斜め45度、前方4列目。しかも、オーケストラピットで、ステージまでの距離は5メートルない。真梨子さんが、右手に歩んできて、「私にもいろいろとあるんですょー」と話始めたときは私の真正面、確かに10秒間近く目線が合っていた。
そうそれが、今回のレポートの伏線であった。
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The Road」は、真梨子さんの半生を言葉にはしている。
しかし、生意気な表現で申し訳ない。
歌詞の中の「小さなアパート」という言葉にどれだけ多くの方が真梨子さんの少女時代のことをイメージできるのであろうか? 今お住まいの有名住宅地との比較までイメージできるのだろうか?
「学生になって」という言葉に、東京に上京してタレントになるとお父様に言ったときのエピソード、上京後の上大崎のこと、当時の事務所で大スターの先輩に優しい言葉をかけられたこと、スクールメイツ時代、駒沢女子高時代のどれだけのことを想像できるのだろうか。
そして、真梨子さんは、優等生になれという当時の事務所の方針を拒み故郷に戻る。僭越だが、たった1フレーズで、私はこれだけのことを想像する。しかし、それは真梨子さんにしてみれば極一部のこと。
私は、真梨子さんの半生を知りたいのではなく、真梨子さんの作品を通じて鑑賞しているのである。軽々しく、真梨子さんの人生に共感など出来るはずがない。
ただ、最終日の東京国際フォーラムなら、今年一年の感謝をこめてという意味が生まれてくるから、この日だけはそれでもよいのかもしれない。
私の演出なら、満天の星空のエンディングの中に、東京国際フォーラム5000人ひとりひとりが感謝のペンライトで呼応していくくらいの規模の大きさが欲しいと感じている。自分ひとりラララと声に出しても、演奏の音は相当大きく、真梨子さんには届かないからだ。本当の一体感。1997年のtiptopコンサートの新宿東京厚生年金会館で行われた、録画取りでのペンライトを復活させるべきであると感じている。
(C)THE MUSIX
さて、「The Road」の歌詞の最大のポイントは、次のフレーズである。
「水が流れるように」
「私は大人を演じるけれど」 「唄うことは私の儚い恋愛」
「歌というロマンへと恋に落ちた」
「唄うことは命の証だと知った今」
泰然自若という意味ではなく、己の感性の鋭さに水が流れるように身を任せるという意味での自然体。
絵空事の恋愛を瞬間的に真実の現実の恋愛シーンに変えてきた歌唱力。
「浪漫詩人」で唄ったConcert Singerの孤独の響き。
「貴方と」で唄った、自分自身への使命感への内なる問いかけ。
そう、真梨子さんは、これらのフレーズで、真梨子さんの歌を聴く自分の「心の絵の中に愛を演じて」きてくれたのである。それはHEARTの世界でもある。でもある。
不器用で、音楽業界では異質で、しかし高橋真梨子というジャンルを確立してきたConcert Singerである真梨子さん。Frustrationもたまるし、いろいろとあるのだろう。
ラストの満天の星空
そして、MDF音楽館が真梨子さんのひとつのイメージとして取り上げてきた色の配色がアンコールの場面で再現されている。下方から空に向かってのスポットライトもある。
それは私が描いた「高橋真梨子の絵」である。
真梨子さんは、確かに、わたしの「心の絵」の中に、今日も愛の歌を演じてくれたのであった。丁寧な歌唱が印象的。オリジナルもオリジナルに忠実に練習されたのだと思う。100点満点で148点のコンサート。
真梨子さんありがとうございます。 そして、まり子さんお疲れ様です。
(2011/06/22*2020/12/07再編集)