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Sunny Afternoon 1980.02.21
VictorEntertainment VIH-6064
VDR-1415 VICL-5162
1.ハート&ハード~時には強く時には優しく
2.もしかしたら
3.サンライズ・サンセット
4.グッバイ・ チャーリー
5.すべて霧の中
6.陽だまりのように
7.ジャスト・ホールド・ミー
8.アップル・シティ
9.素足が似合う街で
10.愛はこれから
コンセプトアルバムは、今のCDアルバムとはまったく違う構成である。
一言で言えば、1-7-LASTの選曲といえる。
正確に言えば、アルバムのオープニングとB面の2曲目、そしてlastの曲である。
ぜひ、初期アルバムのセツトリストを見てほしい。CDで言えば、7曲目がLPのB面の2曲目になる。
A面B面の2部構成のコンサートと考えれば、コンサートの中心にドンと座るのがB面の2曲目。アルバムDEARでは、見事に「for you...」が位置している。
「ハート&ハード」は、車のCFで使われたわけで当時耳になじんだが、尾崎亜美さんの貢献も大きいだろう。いわゆる当時のニューミュージックの世界観とはことなり、「尾崎亜美の世界」として、甘くメロウなハスキーヴォイスが魅了した。その世界観を、少しとんがった硬い声の真梨子さんが表現している。
B面2曲目の考え方とみれば、このアルバムのメインは、「ジャスト・ホールド・ミー」である。
当時のTVドラマの主題曲として、毎昼流れていた。
この曲の舞台は、私は青山通りか明治通りだと思っている。
歌の世界にぴったりな歩道橋がある。その歩道橋から見る車のライト。
エレキギターとは思えないほどアコースティックに聞こえる素敵な音色が、そのライトを表現している。
そして、この竜真知子さんの詞の世界が、「君と生きたい」までつながっていくのである。
「サンライズ・サンセット」の竜さんの作詞。
そして、来生えつこ・来生たかおの姉弟のコンビも、真梨子さんの固くて寂しい世界を創ってきたアーティストといえよう。
アルバムのコンセプト的には、「ひとりあるき」のはっきりとした恋と失恋に対して、少し位相を変えた恋の形を表現している曲が多い。
その意味では、真梨子さんの世界の始まりといえるアルバムなのかもしれない。
(MDF音楽館2007掲載文 再編集2020/07/24)
尾崎亜美さんの世界は、当時のニューミュージック界でも独特のメロウな世界観を出していた。
その後J-POPなアップテンポなサウンドを広げた杏里さんの「オリビアを聴きながら」よりも、尾崎さんの少しハスキーなオリビアの方が好きだ。そして、尾崎亜美さんは数多くのアーテイストに楽曲を提供していた。意外な感じだが、荒井由実さん同時のユーミンさんと尾崎さん、真梨子さんは、当時の飲み仲間である。そして、真梨子さんはよく話す人なのだ。淡々と歌うだけのコンサートのイメージ。そして当時の堅い声質から、寡黙なイメージがあるけれど、これはやはりその時の音楽活動に対して、もっと何か違うものがあるという感覚からくるものであろう。
偶然にも、「裏面」ジャケットの「影」が濃くて大きい。本当の自分を投影しているかのようである。
もちろん、当時のビクター音楽産業からのソロデビューした(させてもらえた)という立場もある。
まだまだ、自分の歌い歌を歌い続ける前に、自分の存在を固めなければならない。
文字通り、ステージに立つ前にまだステータスがなく、その段階のレベルとしてのステージに至っていないもどかしさがあるのだ。そして、この模索の時代に、真梨子さんの世界を描いていった、竜真知子さんとの出逢いであればこそ、その後発表された「君と生きたい」をステージで大切に歌いたいと真梨子さんが密かに思い続けたのも、十分に頷けることなのである。
(2020/07/25記載)