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time of love

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2002.5.22 VICL-60880

1.枯れない花

2.去る者は日々に疎し~Out of sight,out of mind

3.Traffic~混雑

4.夜明けのミスト

5.say my name~心をニュートラル~

6.電話

7.スフィア

8.街角

9.バイバイ

10.ときめいて空に

11.別れの朝

12.say my name

何時までも女性として可愛くいたいという本音を語った真梨子さんは、「枯れない花」でお母様の野辺送りのシーンを思い浮かべながら、今という平凡な暮らしのなかにある暖かさ、そういう生活が送れることのありがたさを表現した。

あの意味では、この曲でお母様と様々な葛藤を詫びているかのような曲でもある。そしてこの曲のモチーフは、

6年後2008年の「Swing Heart」につながっていく。

「去る者は日々に疎し」は真梨子さんにしか歌えない曲。
「Traffic~混雑」と「街角」は銀座の街角を連想させる。

しかし、

「人はさよならを いずれ受け止められる              徹底的な出来事につまづいて 」

と文字で見ると、ずいぶんとストレートに書いている冷たい言葉が出てくる。アルバムの中に「スフィア」ではその徹底的な出来事に揺れた気持ちを素直に表現。その詞に曲をつけたのが、元恋人という大人の距離感が感じられればこの混雑が、いろいろな辛い想いの交錯と捉えられるだろう。

懐かしく空に ときめいて空に 涙して空に向かう
と歌う「ときめいて空に」
昔の彼女が23歳で結婚したと人づてに聞いたときのことを思い出した。アコースティックなサウンドが高橋真梨子の世界である。

「夜明けのミスト」も実生活の一場面を借りて、失恋のモチーフにし、逆に今の幸せを表現している曲である。
「say my name」はAOR。

この2002年当時としては異質である。
「電話」は、別掲の通り、私は自分に電話していると感じている。過去の自分へである。

空へ旅立ち星となった恋人へのやまない想い。

無口な空の色 星は流れ 月は満ちる 誰の為

別れという事象があっても別れていない。
だから、カップリングに「別れの朝」が収められている。

(MDF音楽館2007 掲載文 一部改訂)

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Say my name
電話
ときめいて空に
ORIGINAL ALBUM  

2021年の今聴いても新譜のように聞こえてくる2002年のアルバムである。

体調不良から5年の歳月とお母様との別れを経て、それまで真梨子さんの心の中にあったこだわりを払拭し、魂の解放をしたアルバムである。

「枯れない花」は、失恋の歌の形を借りて親との別れ、そして流しきれない悔恨の存在を表している。そして、私の見解だが、「枯れない花」は

「my little song 」の原曲である。

そしてもうひとつある。それは、体調不良中の真梨子さんを苦しめて、トラウマのように覆い被去ってきて押さえられてきたあのシーンの払拭である。

部屋に帰ったら、荷物ごと彼がいない。

なんでという感情が、今も心の奥で払拭できない。そして、18年後お母様の野辺送りの時に再会した元恋人。その和解は、恋人が認めて部屋を去るべきと決断した理由のひとつである「真梨子さんの才能」に、元恋人が「曲」を改めてつけることであった。

それを温かく見守るヘンリーさん。

これを誤解を恐れず言えば、それは真梨子さん自身と「真梨子さんの抱く」悔恨との感覚的な、まさに手打ちであった。

そのシーンは「夜明けのミスト」「スフィア」の歌詞に込められている。

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「去る者は日々に疎し」は、今聴いても何の違和感がない。2002年当時はずいぶん冒険したなという感じてあったが。

この頃は、どう歌うかという真梨子さんの工夫がたくさん聞いて取れる。

AORに挑戦しているのも自然な動きだ。

「電話」は、誰もいない部屋に電話しているのだが、私はその時の自分、昔の自分に電話していると感じ取れた。それは、​失恋と絶望の淵にいた自分に、元気でやっているよと安心させる電話のようでもある。

亡くなった方の電話番号をそのままにして消せないというのは、よくある話でもあるからだ。

「ときめいて空に」は、修飾音で過去と現在をワープさせている。

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全体として、ドラムスが効果的である。

他のアルバムのように、CDでもコンサートホールを作るという感覚よりも、真梨子さんのストレートな思いをダイレクトにぶつけてくるアルバムだ。だから、コンサートでというよりじっくりと深夜に聴いてみたい曲が多い。

それは、まるで落ち着いたリズムが、真梨子さんの魂を鎮めているかのようである。

​(2021/01/04記載)

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