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two for nine

1999.05.21 VICL-60377
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真梨子さんが重い扉を開けた「扉を開けて」の中で、真梨子さんとお母様との様々な出来事が書かれている。
われわれは、プライベートを応援しているわけではなく
オフィシャルな作品やコンサートを通じて応援しているわけである。
よって、このアルバムの中のいたるところに、真梨子さんの実際の失恋の出来事そしてお母様の野辺送りにあたっての新たな人間関係の変化が感じ取れる歌詞が多い。それは、それとして感じ取ればよいと思っている。取り立てて解説するものではない。
ただ、1998年の新宿東京厚生年金会館のステージで、前年の香港ツアーではあんなに元気であったお母様が、車椅子で来場されていたのを見て、お母様と全国を回る真梨子さんのことを心配したのをはっきりと覚えている。

タイトルはよく出来ている。ヘンリーさんは、違う解説をされていたと記憶しているが
明らかにこの数字の持つ意味はこうであると捉えたい。
真梨子さんのステージは、真梨子さんとヘンリーバンドで合計9名そして
真梨子さんとヘンリーさんで2名
そして一人だけ赤いi である。
それは真梨子さん自身である。

あえてこういうことに気づく私は、真梨子さんの世界を少し離れたところから、しかもそれ以上中に入らない距離で応援する衛星である。

全編に渡って、生への畏敬と死をテーマにしている。深遠な曲も多い。

​(MDF音楽館2007記載)

 

恋ことば
向日葵
2011/04
ORIGINAL ALBUM

このアルバムは、1999年の5月のリリースである。前年の末にお母様が亡くなられているので、武道館のコンサートの準備とアルバムの録音と大変な日々を送られていたことが想像できる。98年はオリジナルアルバムのリリースもなく、コンサートツアーもtip topのVersion変更であった。

2020年末にこのアルバムを改めて聴きなおすと、まさに真梨子さん49-50歳の年に大きなパラダイムシフトをしているということであると気付く。

93-94の外への拡大に対して、明らかに今までの生き方歌ってきた人生、そして母娘の関係、そしていろいろな恋愛模様を回顧して、ひとつの私小説のようになっている。それは、歌詞ブックレット内に真梨子さんのハワイでのいろいろな画像が、セピア色で収められていることからもいえるであろう。今までは、どちらかといえば、外国の風景であったり、無気質なものが使われていた。

このアルバムの特徴は、10曲のコンサートになっていること。そして、真梨子さんのヴォーカルの位置によって、今を歌い、過去を歌い、いろいろと回想シーンになぞらえてみたりと表現に違いを付けていることである。

「バースデーカード」は素晴らしい作曲編曲。

「フレンズ」は、素朴なフレンズではなく、ドラマチックなフレンズなのだが、ボーカルの位置が遠く、コンサートホールで言えば中央から後方でステージ全体を見るような感覚で、青春時代を俯瞰している。

「夢一夜」は「stop my love...」である。

赤い愛である。

当然、今までなかった内なる自己への問いかけ、死と生のはざまで、今までの軋轢や悔恨はなんであったのか、しかしそんな思いも悠久の時が解決していく

「far away....」。

真梨子さんは彷徨う星のような数ケ月を過ごしてきた。

 夜明けが来る 陽はまたのぼる 

  その向こうで星が流れる

♪ 瞬間を超えて 貴方に愛されている

そして2020年の真梨子さんの心境を考えると、

今聴くべきアルバムだと体感しているところである。

​(2020/12/22記載)

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