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VERSE 1993.09.01
1.Sincerely
2.想い出はひかりの中
3.帰り道を教えてよ
4.グレート・ブルー
5.Passage
6.待ちきれない
7.息もできないキスをして
8.鳥たちの行方
9.My Heart New York City
(C)VICTOR ENTERTAINMENT VICL-436
このアルバムは、決してNEW YORKをイメージして作られたものではない。しかし、93/07/06のカーネギー公演のメインスポンサーであるUNIMATのイメージソングが、カーネギー公演で初めて歌われたり、帰国後「MY HEART NEW YORK CITY」が収録され、さらに9/1リリース後にカーネギー公演がWOWOWで放送されたりという経緯があるため、NEW YORK色が強く感じられる。
「韻」また「その時期の作品」という意味のあるVERSE。
その曲は、明るいバラードの「Sincerely」、ソウルフルな「想い出はひかりの中」、「帰り道を教えてよ」のポップス、深遠な「グレートブルー」。ボサノバ調の「待ちきれない」、ラテンの「息もできないキスをして」。JazzyなAORになるのだろう「鳥たちの行方」。
このように幅広い曲調の曲が収められている。珍しいマリンバの響きもよい。
真梨子さんにとって必要な伴奏の楽器は何かというと、ご本人がいうようにドラムスやパーカッションである。まさに、グルーヴでありリズムであり、音としての「韻」である。そして、
派手ではなく、不協和音もなく、ストレートに外連味なく歌い上げたアルバムなのだ。
たしかに、短調も多い。どんより曇った空、大きな街の一本入った裏道。夕暮れ時。
そんな心象風景を包むように、
明るい「Sincerely」が包んでいく。
そして、夜景のニューヨークを鳥瞰する空撮がが見えてくる。
そして、ポイントは、「MY HEART NEW YORK CITY」の歌詞にある。真梨子さんはデビューするまで、さまざまな楽曲に触れて歌ってきたステージシンガーである。それが原点だ。1年だけ、いつやめてもいいと言っていたシンガーが、カーネギーの音楽の聖に触れた。
85年以来の再訪となる都市、ニューヨーク。
荒んだ心も音楽に触れて癒され、そして芸能界の大きな力にも媚びずに真摯に歌い続けてきた。アルバムも創り続けてきた。ブルースの登場人物のような魂の叫びでもある。
このアルバムで様々な曲調は、まさにそのことを表現しているのだと思う。
そして、9月から始まったツアーの東京公演のアンコールでは、あのカーネギーの白いドレスで歌唱したのである。
(2020/11/15記載)