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two for nine
1999.10.29 神奈川県民ホール
1999.11.27 東京厚生年金会館
Midnight Blueの鎮魂
(C)NHKBS1999
不幸せになんか
ComePrima
遥かな人へ
流れる
OLD TIME JAZZ
向日葵
恋ことば
素足のボレロ
HBP
はがゆい唇
桃色吐息
ハッピーエンドは金庫の中
夢一夜
万華鏡
虹の水
ごめんね
フレンズ
グランパ
for you...
far away
1999/11/27
真梨子さんのコンサートには、青空がよく似合う。しかし、このコンサートには、青空は出てこない。
衣装は、前半がブルー。第二部が黒のジャケット。アンコールは、赤である。
まさに夜会。
1曲目も2曲目もスローバラードに聞こえてくる。いつもは会場の空気感を変えるために盛り上げるのに、バラード感覚である。
舞台のエンタシス様の柱は、時には街灯になり都会のビル街を表象する。
ただ、真梨子さんには笑顔が出ていた。
高音の伸びもシャープである。
しかし、「流れる」になると、中欧のウイーンの街のイメージが出てくる。どんよりとしたあの街だ。このためセットリストの変更があった
「OLD TIME JAZZ」から「向日葵」の流れは、アコ-スティック感に溢れ、深遠さすら感じされる仕上がりであった。
真梨子さんの横顔が綺麗で輝いている。
また、音源を使ってコーラス部分を流していく「恋ことば」は、真梨子さんの軽快なステップと笑顔が溢れ「素足のボレロ」と対になって締めくくる。
NYの夜景なのか、香港なのか。
まるで、別世界の異空間の中で、ターミネーターでも描かれるかのようなアイリッシュダンスのHBPは、ミッドナイトブルーの闇である。
そして登場した黒のジャケットの真梨子さんは、
都会のビルを模した背景で「はがゆい唇」を歌いあげる。それは、「恋ことば」の桜降るビル街が夜の街になったかと思わせるような寂寞とした時間帯でもある。
もともと、HBPはミュージシャンの演奏パートをしっかりと聞かせる時間枠であった。
その意味で、背景のスクリーンをスコープに見立て、映し出されていく幾何学模様は、バンドメンバーの演奏とミックスされて、短調のアコースティックなサウンドが心のざわめきを覚えさせた。
このコンサートのメインのひとつである「虹の水」。コンサート会場をひとつの大地に見せる演出なのであろう、天空からの愛を、赤とゴールドとブルーの光で黒のジャケットの真梨子さんを包んでいく。
「神の恩寵」という感覚。
生かされている命。
「ごめんね」の別離のない国、「フレンズ」のダイナミックな青春とスポットを当てて、まるで大津あきらさんを歌っているようなシーン。
その時、真梨子さんはスカーレットのライトに包まれていた。
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アンコール。赤いジャケットの真梨子さん。
青、黒、赤。
この衣装によるストレートなメッセージ。
少しテンポが速いかと思った「for you...」、
宮原さんとの息遣いが感じられた。そして、赤い熱い愛のシンガー高橋真梨子を、まるで少し冷ますかのように、ブルーのライトが包んでいく。
この基調は変わらない。
満天の星空の「far away」は当然オリジナルバージョン。星が流れ、新しい太陽が昇ってくる。
それは、乱れた心を救ってくれる「虹の水」の恩寵の光ではなく、自分自身の中に生きる力を見つけ出した姿である。
それが鎮魂であり、赤い愛である。
two は、ヘンリーさんとのカップルである。そして、もしかしたらダブルの存在、つまり廣瀬まり子さんであり「高橋真梨子という存在」なのかもしれない。しかし、ステージの上では真梨子さんはただひとり孤独な存在なのである。
真梨子さんには、横浜のステージがよく似合う。
「ミットナイトブルーの横濱」
ふとそんなことを思い起こしたステージであった。
(2021/06/07記載)